新型「フィット」を作り出す最先端技術の数々――ホンダが寄居工場を公開:製造技術
ホンダは、新型「フィット」などの生産工場である埼玉製作所寄居工場(埼玉県大里郡寄居町)を公開した。同工場は、「環境負荷の小さい製品を最も環境負荷の小さい工場で作り出す」というコンセプトのもと、最先端の生産技術の導入によって高効率な生産体質を構築している。
ホンダは2013年11月7日、新型「フィット」などの生産工場である埼玉製作所寄居工場(埼玉県大里郡寄居町)を公開した。年間で25万台の生産能力を有する同工場は同年7月から稼働を開始(関連記事:新型「フィット」生産に向けて、ホンダの寄居工場が稼働)。今後は、新型フィットの他、12月に発売するフィットベースのSUVや、小型セダンなども生産する予定である。
寄居工場は、人と環境に配慮した「環境負荷の小さい製品を最も環境負荷の小さい工場で作り出す」というコンセプトのもと、世界トップクラスの省エネルギー工場を目指して、最先端の生産技術の導入によって高効率な生産体質を構築したという。また、ホンダの小型車工場のモデルにもなっており、今後立ち上げるメキシコや中国、ブラジルなどの新工場に、寄居工場の技術やノウハウを展開する予定である。
プレスの生産効率を約40%向上
寄居工場では、プレス、溶接、組み立ての各工程に新たな生産技術が導入されている。まずプレスでは、型抜き部の駆動をサーボモーターで制御するサーボプレスを用いた高速成型と、金型を変更する際の時間短縮により、業界トップクラスのショット数を実現した。従来技術に比べ約40%の効率向上が図れるという。
次に、溶接に用いる設備を小型・軽量にした。車体の溶接を行うメインボディアッセンブル装置は、大型のスライドタイプの治具から、小型のロボットを用いる治具に変更。これらのロボット治具をモジュール化することにより、全世界の工場への標準展開が可能な設備の軽小化を実現した。
フードやドアなどを構成するアウターパネルとインナーパネルを張り合わせるヘミング(ヘム折り)工程については、大型プレスマシンによるプレスヘムに替えて、小型汎用ローラー治具を使ったローラーヘムを採用。アンダーボディにサイドボディやルーフなどのフレーム部品を組み上げる工程では、インナーゼネラル・ウエルディング・マシンを使って部品を集約して骨格形成を行い、車体の軽量化を図れるようにした。さらに、フードやドアなどの重量物を車体に取り付ける作業も自動化した。
最後に、組み立てについては、重量物作業の削減や取り付けの精度向上、省人化を、自動化によって実現した。中でも、インストルメントパネル、ガラス、エンジンサス、タイヤなどの組み立て自動化が重要な役割を果たしているという。
炭酸カルシウムで塗装ミストを吸収除去
車両生産時に発生する環境負荷を低減するための技術も導入されている。自動車の塗装ラインの長さを40%削減できる技術「Honda Smart Ecological Paint(Honda S. E. 塗装)」(関連記事:ホンダが塗装ラインを40%短縮、新型「フィット」生産予定の寄居工場に導入)の他、バンパー塗装工程の塗装ミストの吸収除去を水ではなく炭酸カルシウムで行う技術は国内初導入になる。
取り引き先の部品加工を工場内で行う「コーポレートパーク」により、部品の輸送効率の大幅向上や輸送時に発生する二酸化炭素の削減も図っている。FEMS(工場エネルギーマネジメントシステム)の導入で、エネルギー使用状況を見える化し、効率的な施設管理も可能になっている。
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