ホンダが塗装ラインを40%短縮、新型「フィット」生産予定の寄居工場に導入:製造技術
ホンダは、自動車の塗装ラインの長さを40%削減できる塗装技術「Honda Smart Ecological Paint(Honda S. E. 塗装)」を開発した。新型「フィット」など小型車の国内生産拠点となる予定の寄居工場に導入する。
ホンダは2012年12月12日、自動車の塗装ラインの長さを40%削減できる技術「Honda Smart Ecological Paint(Honda S. E. 塗装)」を開発したと発表した。2013年発売予定の新型「フィット」をはじめとする小型車の国内生産拠点として、2013年7月に稼働予定の埼玉製作所寄居工場(埼玉県寄居町)に導入する(関連記事)。
現在、自動車のボディの塗装工程は、ボディの鋼板を電着塗装してから、中塗り工程を経て、ボディカラーとなる水性ベースの塗料で上塗りし、最後にクリアコートを施す、4コート3ベークが主流となっている(ベークは乾燥の意味で、電着塗装、中塗り工程、クリアコートの後で合計3回行っている)。
「Honda S. E. 塗装」(右)と4コート3ベーク塗装の比較。なお、水性ベースの塗料を用いるプロセスでは、ボディカラーによって異なる塗料を2回に分けて塗る必要があるため、1st、2ndという表記がある。(クリックで拡大) 出典:ホンダ
これに対して、Honda S. E. 塗装は、中塗り工程を省略することで、3コート2ベークを実現した。中塗り工程を省略すると、ボディ表面に色ムラや気泡などが発生しやすくなるが、水性ベースの塗料を高機能化することでこの問題を解決した。さらに、Honda S. E. 塗装は、全てのボディカラーに適用可能である。ホンダは、「3コート2ベークでは業界初」としている。
Honda S. E. 塗装に加えて、高速で充填と洗浄を行える塗料タンクを内蔵した壁掛け塗装ロボットシステムも開発した。これらによって塗装効率が大幅に向上したので、従来の塗装工程と比べて塗装ラインの長さを40%削減できた。塗装材料の使用量も削減可能である。これらの結果、塗装ラインから排出される二酸化炭素の量も従来比で40%削減できたという。
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