3Dプリンタが壊れました:3次元って、面白っ! 〜操さんの3次元CAD考〜(28)(1/2 ページ)
3D-GANの「Replicator2」が、壊れた。しかも、最悪なタイミングで。パーソナル3Dプリンタを業務に使うなら修理能力も必須かもしれない。
私の身の回りでは、日々いろいろなことが起きているのですが、「とても面白い!」と思っても記事にできないもの、あるいは記事にするほどのボリュームがないものだったりします。……さて、今回の記事はどうしようか、悩んでいたところ、この連載にも何回か登場した「ダムダムボーイ」さんが、「あれにしたら?」と言ってくれました。
「あれ」とは何かというと、「Replicator2」の修理ネタです(関連記事:「レプリケーターと3次元プリンタのいろいろな方式」)
この1年続いている3Dプリンタブームをけん引しているものの1つが、「Cube」「Replicator」「Blade-1」など安価な3Dプリンタであることは間違いないでしょう。機械の価格も手頃であるばかりでなく、材料も業務用の3Dプリンタと比較したら、はるかに安価ですから。
以前にも書きましたが、3D-GANにあるReplicator2は稼働率の高い機械の1つです。ちょっとした形状の確認には、皆が使い、ちょっとどこかで3Dプリンタをみたい、というときに持っていくのにも重宝します。……いや、“していました”と過去形で言いましょう。なぜかと言えば、「壊れたから」です。しばらくの間、「いつ直るんですか?」という3D-GANへの問い合わせにも答えられず、つらい日々を送っていました。
それが、つい先日、3D-GAN理事の石井正明氏さんの尽力もあり、2カ月ぶりくらいに、まともに動くようになったのです。
そういうわけで、今回は「3Dプリンタ修理顛末(てんまつ)記」をお届けします。「昔からRepRap系の3Dプリンタをいじっている」とか、その方面の方にとっては「何を今更」なネタかもしれませんが。
3Dプリンタ初心者ではないけれど、業務用3Dプリンタしか使ったことがないという方も、普通は3Dプリンタ本体の修理はしないと思います。Replicatorは、やはりDIYな匂いがします。
例の「工作教室」の裏側
さて2013年5月頃、3D-GANにReplicator2が到着して以来、かなり便利に使ってきました。「出力しまくっていた」と言ってもよいでしょう。そんな“Replicator2君”ですが、こき使われるあまり、時折、機嫌を悪くして、「ヘッドから樹脂が出なくなる」なんてことは、たまに起きました。でも、その程度なら大した問題ではありません。すぐに直せましたから。
しかしある日、何とも最悪のタイミングで壊れてしまったのです。この連載の記事「夏休みの自由研究課題を3Dプリンタで作ろう」で紹介した工作教室のときです。
この教室では、「夏休みの課題をReplicator2で造形する」という約束でしたから、「動かない!」ということが絶対あってはならないのです。しかし、結局どうにもならなかったので、Replicator2を販売するBRULE社のご好意により、このイベントのために、新しいReplicator2を提供いただいて、どうにかしのいだのでした。
まずは試せることを試そうか
……で、3D-GANの壊れたReplicator2は、というと……。
もちろん何もしていなかったわけではありません。単純に材料の「Load」「Unload」をするなどでは片付かなくなってしまったので、“お掃除”から始めました。具体的には、ノズルとヘッドの分解掃除をしました。しかし、「おーっ! やったー!」とか思っても、ラフトを出力した後に樹脂が出なくなってしまうのです。なので、ついに3回目で諦めてしまいました。
実は、この分解掃除中に、部品を1つ発注しています。2回目の分解掃除中に、ファンが壊れて(壊して?)しまいました。どうも、既に熱の影響でファンが傷んでいたところに、うっかり力をかけてしまったようで、ファンが半壊してしまったのです。
仕方がないので、ファンの規格名でWeb検索すると、香港かどこかの企業が売っているもよう。値段は「50ドル」。ちょっと高いですが、なければ対処しようがないので注文してみました。
……が、1ダース(12個)届きました。つまり、1個当たり400〜500円です。これで当面、3D-GAN的にはファンには困らなくなりました(笑)。
諦めて部品の製造と発注
先ほどお話ししたように、3回目の分解掃除もむなしく、ついには、樹脂がすぐに出なくなってしまいました。
我慢強い石井さんも、さすがに「ヘッドそのものをアップグレードしよう」と言いました。まあ、Replicator2の場合には、“この手のこと”を考える人は多いので、Web上を探しまわれば、すぐに情報は出てきます。
今回、エクストルーダーのアップグレードで活用したのは、ご存じ、「Thingiverse」の情報です。Thingiverseは、Replicatorの開発元であるMakerBotの運営するWebサイトです。
詳しいインストラクションとともに、必要な部品類なども併せて書いているので、すごく詳しい人でなくても、特に問題はないでしょう。
ということで、必要なSTLファイルは、早速こちらからダウンロードをしてみました。ちなみに、STLの造形には、3D-GANの事務所にある「uPrint」を使いました。ということで「出力物はこれ!」という写真をお見せしたいところなのですが、あいにく写真を撮り忘れてしまいました……。気がついた時には全て組み立ててしまったので。
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