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非接触操作によるUIは万能か? NUI実現における注意点モーションセンサーで組み込み機器はどう変わる?(2)(2/3 ページ)

モーションセンサーデバイスとNUI(Natural User Interface)の基礎、各センサーデバイス製品の特徴などを詳しく解説する連載。今回は、モーションセンサーデバイスのユーザーインタフェース(UI)としての活用例や、NUIを実現する際の注意点について紹介する。

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NUIの実現において注意すべき点は何か

 連載第1回では、NUIは音声やジェスチャーで、誰でも直感的かつ自然に操作できるUIであると紹介しました。

 ただ、実はこの“誰でも直感的かつ自然に”を実現するのは意外と難しいのです。ここからは、筆者がモーションセンサーを活用した「デジタルサイネージ(電子看板)」の設計・運用に携わった経験を例に、NUIの実現に向けた注意すべき点を紹介します。


実例から考えるNUIの実現の難しさ

 大手外食企業とIT企業などが参加する「OFSC(Open Foodservice Systems Consortium)」のセールスプロモーション分科会の活動で、飲食店舗の集客効果の向上を目的とした「インタラクティブサイネージ」の実証実験に参加したことがあります。以降、ここでの経験から得た課題について解説します。

インタラクティブサイネージ
図3 Kinect for Windows を活用したインタラクティブサイネージ

 この実証実験では、従来のデジタルサイネージによくある、単に映像を流すだけの一方的な広告配信としてではなく、「Kinect for Windows」センサーを活用したインタラクティブ(双方向性)なデジタルサイネージを企画し、その設置効果を測定しました。Kinect for Windowsで実現できる「人の検出」や「身体の動きの検出」の機能を活用して、デジタルサイネージに次のような仕掛けを実装しました。

機能: 
・単純に写真や広告を表示するだけの電子看板とは違う「工夫」で注目度アップ
・人を検出して音を出す/動きに合わせて画面を変化させる「仕掛け」
・タッチ不要! 「ジェスチャー」で触らずに操作できる仕組みを実現


仕組み: 
・普段はお店や料理の写真などをスライドショーで再生
・人を検知すると画面に変化が起こり、コンテンツが切り替わる
・人が近づくにつれて段階的に音を鳴らし、画面への注目を促す
・画面の前に人が立つと突然「クイズ」を出題
・ジェスチャーでクイズに回答し、店内へ誘導


人が近づくと画面内のコンテンツが変化する仕掛け(1)人が近づくと画面内のコンテンツが変化する仕掛け(2) 図4 人が近づくと画面内のコンテンツが変化する仕掛け

 ここでKinect for Windowsを活用したポイントは大きく2つあります。

 1つ目は、人が近づいてきたときに画面を変化させる仕掛けです。デジタルサイネージから4mの範囲内に人が近づくと、画面の中にテーブルが映し出され、さらに近づくとテーブルの上に段階的にワインや料理が並べられ、2mまで近づくと突然クイズが始まります。これは、Kinect for Windowsの距離センサーを活用したもので、人の距離に合わせて画面内のコンテンツを変化させる仕組みを実現しています。このインタラクティブ性を持たせた仕組みは、デジタルサイネージの画面への注目を促す効果がありました。

 2つ目は、クイズをジェスチャーで回答させる仕掛けです。画面内に表示されるクイズは2択式。その中から正解だと思う方の手を挙げてもらうというシンプルなものなのですが、ここで幾つかの問題が発生しました……。

 実際、店舗に来店してデジタルサイネージを操作する利用者の反応を見てみると、まず“タッチパネル形式のサイネージ”だと勘違いし、画面を直接触って回答しようとする人が多くいました。設置したデジタルサイネージのディスプレイはタッチパネル対応ではなかったので、当然、画面に触れても何も反応しません。画面上に「手を挙げて回答してください」と表示しても、その通りには操作してもらえず、最終的に、音声ナレーションを入れて説明を加える対策を行いました。

 続いて、ジェスチャーが上手く認識されないといった問題が発生しました。クイズに回答するジェスチャーとしては、「手を挙げる」などの単純な動作を採用していたつもりでしたが、この手を挙げる動作に人それぞれの“微妙な違い”があり、手を挙げたつもりでも反応してくれないといったことが起こったのです。ここでも「手を肩より高く挙げてください」と音声ナレーションを入れる対策を取りました。

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