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組み込み向け「VOCALOID」だと!? ――ヤマハ、歌って奏でる音源LSIを発表Arduino向けや大人の科学でも展開

ヤマハは、リアルで多彩な音色に対応した音源LSI「NSX-1」の量産出荷を開始した。リアルなアコースティックサウンドを再現する音源「Real Acoustic Sound」と、「VOCALOID」を組み込み機器向けに最適化した専用音源「eVocaloid」に対応する。量産出荷に併せ、JavaScriptからNSX-1を制御するためのライブラリと、サンプルWebアプリケーションもオープンソースで公開する。

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NSX-1

 ヤマハは2013年10月23日、リアルで多彩な音色に対応した音源LSI「NSX-1(品番:YMW820)」の量産出荷を開始したことを発表した。サンプル価格は2000円で、初年度の販売目標は150万個。

 同年10月下旬には、スイッチサイエンスからNSX-1を搭載したArduino用のシールド「eVY1 SHIELD」が、2014年春には学研教育出版からNSX-1を用いた「大人の科学」シリーズが登場予定だという。


音源LSI「NSX-1(品番:YMW820)」
ヤマハの音源LSI「NSX-1(品番:YMW820)」

 NSX-1は、同社の電子楽器技術、歌声合成技術、半導体技術、インターネット技術を結集した、「全く新しい“歌って、奏でる、次世代音源”」として位置付けられている。通常の「General MIDI(Wavetable方式)」による音色に加え、リアルなアコースティックサウンドを再現する。アコースティック楽器の微妙な変化を再現できる同社の最新技術「AEM(Articulation Element Modeling)」をベースに開発された音源「Real Acoustic Sound」により、同社のコンサートグランドピアノ「CFX」を基にした高品位なアコースティックピアノの音色など、30種類の音色をリアルなアコースティックサウンドで奏でることが可能。General MIDIとReal Acoustic Soundは、同時に使用して音を奏でることもできる。

専用音源「eVocaloid」
専用音源「eVocaloid」のロゴ

 さらに、NSX-1は、専用音源「eVocaloid」によって、インターネットを中心に高い人気を誇るバーチャルシンガーによる歌声の出力も行える。eVocaloidは、歌声合成に必要なデータベース容量を削減するとともに、少ない処理で歌声を合成する方式を採用するなど、「VOCALOID」の処理を組み込み用途に最適化したもので、極めて少ない遅延で歌声を合成できる。また、VOCALOIDの日本語女声ライブラリ「VY1」を基に開発した専用ライブラリ「eVY1」を使用することで、力強く伸びのあるロングトーンの歌声を実現可能である。ボイス数やeVocaloidの対応言語などは今後拡張していく予定だという。なお、前述のReal Acoustic Soundと、eVocaloidを同時に使用することはできず、あらかじめ、どちらの音源をプリインストールするかを選択する必要があるとのこと。

項目 内容
音源方式 eVocaloid、Real Acoustic Sound、Wavetable方式(General MIDI)
最大同時発音数 64
マルチティンバー数 内蔵音源16パート、A/Dインプットパート×2
波形メモリ 4Mバイト相当
ボイス数 eVocaloid(eVY1[日本語])/Real Acoustic Sound×30種類、General MIDI×128種類
ドラムキット数 1ドラムキット(General MIDI)
エフェクター リバーブ×29種類、コーラス×24種類、インサーション×181種類、マスターEQ(5バンド)
表1 音源仕様

 同時に、同社は、JavaScriptからNSX-1を制御するためのライブラリと、そのライブラリを使ったサンプルのWebアプリケーションをオープンソースで公開する(同年11月上旬予定)(表2)。このライブラリはWebブラウザからMIDI機器を制御するための「Web MIDI API」を利用して動作するもの。これにより、Webアプリケーションから、「音を鳴らす」「音を止める」「使用する音色を選択する」といったNSX-1の制御が行えるようになる。ライブラリをオープンソースで公開するため、同社のみならず、外部の開発者やサプライヤーでも、NSX-1と連動するWebアプリケーションや製品を容易に開発できるという。

アプリケーション名 概要
歌詞入力・リアルタイム演奏アプリケーション Webブラウザから送信した歌詞を、MIDIキーボードの演奏によってリアルタイムに「NSX-1」で歌わせるアプリケーション
歌詞入力機能付き1トラックシーケンサー Webブラウザ上のピアノロールエディタにメロディーを入力し、歌詞と併せて送信することで、「NSX-1」で歌わせるアプリケーション
音声認識・発音アプリケーション Webブラウザに接続されたマイクからの発話音声を音声認識にてテキスト化し、そのテキストを「NSX-1」で発声させるアプリケーション
表2 今後公開予定のサンプルアプリケーション

 なお、同社は日本科学未来館で開催される「Maker Faire Tokyo 2013」に出展し、NSX-1とWebアプリケーションのデモやプレゼンテーションなどを披露する予定だ。

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