小型EVと「直流」がテーマ、デンソーがDC普通充電器とピコグリッドを披露:CEATEC 2013
デンソーは、「CEATEC JAPAN 2013」において、小型EVと「直流」をテーマに、2つのコンセプト展示を行った。
デンソーは、「CEATEC JAPAN 2013」(2013年10月1〜5日、幕張メッセ)において、小型電気自動車(EV)と「直流」をテーマに、2つのコンセプト展示を行った。2つとも、直流給電による電力インフラの整備が進むことを前提にした提案展示となっている。
1つは、「定置型DC普通充電器」である。現在市販されているEV向けの普通充電器は、家庭用電源などに供給されている一般的な交流電力をEVに出力するものだ。ただし、この交流電力を直流に変換しなければ、EVの電池パックを充電することはできない。この交流−直流の電力変換を行うため、EVには車載充電器が搭載されている。
これに対して、定置型DC普通充電器は、車載充電器と同じ電力変換機能を持つDC普通充電器本体と定置型スタンドに分かれている。住宅では、家庭用電源の交流電力をDC普通充電器本体で直流電力に変換して、EVに充電する。遠距離を走行する場合には、トランクなどにDC普通充電器本体を搭載して持ち運べばよい。屋外での充電は、定置型スタンドにDC普通充電器本体を挿し込んで行う。
EVの充電インフラとして、定置型DC普通充電器が広く利用されるようになれば、EVに車載充電器を搭載する必要がなくなり、軽量化と走行距離の向上につながる。特に、超小型EVの場合は、車両重量が軽いので、車載充電器を取り外すことで得られるメリットはより大きくなる。「ノートPCとACアダプターの関係をイメージすれば分かりやすい」(デンソー)という。
現在、EVの充電インフラは、交流電力を出力する普通充電器と、直流電力を出力する急速充電器の2種類がある。デンソーは、EVの充電インフラが直流出力によってユニバーサル化されると想定。ユニバーサル化までの過渡期には、定置型DC普通充電器のような製品が必要になるとしている。
エネルギーの地産地消に貢献
もう1つの展示は、直流給電の普及がもう少し進んだ段階での利用を想定している「LEVピコグリッドシステム」である。小型EVと、将来的にスマートハウスなどに導入されるであろう直流電力網を接続する機能を有しており、「エネルギーの地産地消の効率化に貢献できる」(デンソー)という。
同システムを使えば、スマートハウスの太陽光発電システムで得た直流電力を、小型EVの電池パックに蓄電できる。小型EVに蓄積した電力を使用する際には、直流給電で想定されている電圧(5V、12V、24V、48Vなど)に変換してから出力する。また、小型EVの電池容量などの車両状態をデータセンターに送信する機能も備えており、これらの情報はスマートフォンやタブレット端末で確認可能だ。
重量は小型EVとの接続に使用するケーブルを含めて約10kg。大規模地震などの緊急時には、小型EVに搭載して持ち運ぶこともできる。
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