板金と樹脂のハイブリッドテクニック! はめ殺し&スナップフィット:甚さんの「バンバン板金設計でキャリアアップ」(16)(3/3 ページ)
最終回は、板金と樹脂を使った部品組み立てのテクニックを紹介する。はめ殺しやスナップフィットはどうやって設計すればいいの?
よし! そんじゃ、次々と行くぜぃ。図4を見ろ。そして、良君、その図を解説しろ。これは命令だぁ。
図4も、図3の左上部で示したVTR、そのテープ挿入口の機構部です。さらに、この部品の3次元モデルが図4です。そして、図3と同じ組み立てと分解にも考慮したスナップフィットです。
良君の説明を聞いていた甚さんが「べらんめぇ!」と怒りだしました。それよりもまず表1に示す青色の枠、その違いに気づいてほしかったようです。
そんなことじゃ、オメェの将来も、オメェんとこの課長と同じになるぜぃ。よく似た親子っていうけどよぉ、よく似た上司と部下だ。何が反面教師だぁ。うり二つとは、オメェらのことだぜぃ!
ぐぬぬぬ……! 「課長と同じ」……それだけは我慢でーきーまーせーんっ!!
そっくりですよ。その怒り方……。
えっ、エッ、エリカちゃんまでもが……。ガガ〜〜ン! もう生きていけない。もう、こんな会社やめてやるぅ。ウワーン!!
オメェみてぇな、CAEだけしかできねぇやつは、どこの企業も拾ってはくれねぇぞ。今の会社に残っていたって、いつかはリストラの対象だぁ。
じっ、甚さん! 最終回でそこまで言う? 今度こそ、甚さんが奥さんに隠れてタバコ吸っているのをチクッてやるぅ!
なにおう! やってみやがれぃ!!
うるさぁぁぃ! 二人ともっ! もう止めてください!! そんなこと言い争っても、日本企業は全く発展しませんよ!!
わっ、分かったよ、エリカちゃん。
エリカちゃんは怒らすと、本当にこえぇなぁ。
甚さんと国木田さんに、私から、ちょっとしたなぞなぞを出すので、「分かった人が勝ち」にしましょう。ウフフ……。
エリカちゃんからの問題
先週は、大阪出張だったんですが、自由時間があったので、大阪城へ行ってみたんですよ。そしたら、こんな不思議な柱があったの!
大阪城には、この他にも多くの謎があるそうなんですが……。この柱の継ぎ方は、一方向の両面は下の柱が凸型の「蟻継ぎ(ありつぎ)」、他方向の両面は山型の「殺ぎ継ぎ(そぎつぎ)」になっています。いずれの方向からも柱を継ぐのは不可能と思いませんか?
筆者自身も、大阪城を訪問する度に、この柱の前で立ち止まってしまうのです。何度考えても答えが見つからなかったのですが……。
実は、建築の専門家から見ても、この構造は不明なんだそうです。近年、レントゲン写真も撮ったとか。それでも、明快な解は得られていないと聞いています。破壊すれば解明できるとも……。
おう……、これは確かに難しい問題だぜぃ。うーん、分からねぇなぁ……。
僕も全く。これは、秋休み取って頭をリフレッシュするしかないな。うん。
またそれですか!? 今すぐ富士山麓にキノコ狩りにでも行けば? もう知りません。
てんめぇ! 隣国の設計者の業務形態を忘れたのか? 隣国の設計者は、「年俸制の業務指名制」だってことを。オメェ見てぇなやつは、一生、業務指名が来ねぇぞ。CAEだけで飯食ってるやつは、隣国では皆無だぁ!
国木田さんが、前回と同じ状態に戻ってしまった……。
富士山麓でキノコ狩りしてきますよ……。
「難解な建築に比べたら、機械工学はまだ優しい方」。エリカちゃんはそう言って良君を励ましたかったみたいですが、逆効果になってしまったようです……。
良君は、基本的に甚さんの教えに従順です。三歩進んで二歩下がりつつも、自分なりに努力してきました。それなのに、甚さんは良君を何度もいびるので、良君は反骨精神でいっぱいになってしまったのでしょう。仲が良いのか悪いのか、よく分かりませんね。さてこの二人、今後はいかに……。
そんなことはどうでもいいんです。僕のエリカちゃんへの思いが報われる日はいつですかね……。
オメェにエリカちゃんは1000年早ぇよ!
「バンバン板金設計でキャリアアップ」はこれにて終わりです。またお会いしましょう。
甚さんからのお知らせ
「甚さんシリーズ」の新連載が始まるぜぃ! これまでとは一味違うテーマだぁ。実は設計そのものじゃないだが、設計者にとって非常に大事なテクニックなんだぜぃ。
それが何かは、まだ秘密です。お楽しみに。
なお、 過去の「甚さん」シリーズの全記事は、「「甚さん」シリーズ記事一覧」からご覧いただけます。
- 甚さんの設計分析大特訓:全10回
- 甚さんの設計サバイバル大特訓:全9回
- 甚さんの「想定内だぜぃ! トラブルは」:全3回
- 甚さんの「技術者は材料選択から勝負に出ろ!」:全11回
- 甚さんの「バンバン板金設計でキャリアアップ」:全16回
甚さんシリーズには、学校で教わらない設計実務の情報が満載です。何度も読み返せば、一刻も早く「設計職人」への道が開けると思います。ぜひ通常の業務で活用してください。
Profile
國井 良昌(くにい よしまさ)
技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会、埼玉県技術士。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。
1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)をはじめとする多数の書籍を執筆。
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