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板金と樹脂のハイブリッドテクニック! はめ殺し&スナップフィット甚さんの「バンバン板金設計でキャリアアップ」(16)(2/3 ページ)

最終回は、板金と樹脂を使った部品組み立てのテクニックを紹介する。はめ殺しやスナップフィットはどうやって設計すればいいの?

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 「ハイブリッド」と言えば、今や低燃費の車が代表格となりました。つまり、2種類の動力を有する車です。その1つ目の動力が内燃機関のエンジン、もう1つがバッテリーからの電力を得て駆動するモーターです。

 「バンバン板金設計」は、板金部品を主体に設計テクニックを伝授してきましたが、今回は板金部品と樹脂部品の「ハイブリッドテクニック」になります。

怖くない?「はめ殺し」

甚

もう一度、図1を見ろ! このテクニックは、はめ殺しというワザだ。ちょいと、恐ろしい名前がついているがよぅ、建築家では当たり前の用語だぜぃ。


エリカ

あっ、分かりました! 最近の高層ビルやシティホテルの窓ははめ殺し、つまり、開かない構造ですよね。しかも図1の事例は、切り起しの応用でもあるわけですね。


良

あっ! 僕も思い付きました。ワンボックスカーやバンなどのツーボックスカーの後部窓もはめ殺しです。「殺し」とか怖い言葉ですけど、ちゃんとした専門用語だったんですね〜。


エリカ

国木田さんの熱中できない熱中症は治ったみたい……。でも、ねじ締結と違って板金は幅広になっていますよ。切り起し方向に、随分とスペースを取りますね。


甚

おぉ、待っていたぜぃ、エリカちゃん。最終回もさえているなぁ? そんじゃ、これはどうだぁ、図2を見ろ!


 図2は、切り起しがそれぞれ1カ所だけです。その分だけ幅広を回避しています。図中の寸法Lが短いときは、片側の「戻り返しによるはめ殺し」でも良いでしょう。ただし、締結力は、半分になる場合がありますので、試作による確認が必要です。

注:図中にねじがありますが、これは補助的な存在です。はめ殺しの場合、ねじ不要が多勢です。


図2 板はめ殺しのワザ(その2):「ついてきなぁ! 加工部品設計で3次元CADのプロになる!」(日刊工業新聞社刊)より
良

なるほど。図1と図2の事例は、「ハイブリッドテクニック」の代表格ですね。


スナップフィット

エリカ

でも、甚さん! 困る場合があります。はめ殺しですから、文字通り、部品は「死んでしまう」わけですよね。つまり、板金部品は二度と外せなくなりますけど……。


甚

さすがは、エリカちゃんだぁ。いつもいつも感心しちまうぜぃ。そんじゃ、これではどうだ。はめ殺しではなく、今度は「スナップフィット」によるハイブリッドテクニックだぁ!



図3 スナップフィットのワザ(その1):「ついてきなぁ! 加工部品設計で3次元CADのプロになる!」(日刊工業新聞社刊)より
エリカ

まさにプロの設計ですね。板金を青色の樹脂へ「パチン」と差し込むだけ。ここまでは、はめ殺しとよく似ていますけど、その後……


良

僕にも解説させてよ!! その後、青い樹脂部品の四角穴から、例えばマイナスドライバーを差し込み、板金を押します。そうすると、板金部品は容易に外れますね。


 今や、多くの家庭で使用しなくなったVTR。そのテープ挿入口の機構写真が図3の左上部にあります。この部品の3次元モデルが図3です。樹脂部品のカギ部と板金のカギ穴で構成される「パチン」とはめるスナップフィットに注目してください。これは、板金のばね性を利用したスナップフィットです。

 組み立てに支障はありませんが、分解には難があるため、良君が解説したように、樹脂部品の四角穴から、例えばマイナスドライバーを差し込み、板金を押せば、簡単に板金部品が外れるというハイブリッドテクニックです。

甚

おぉ、二人とも、最終回にふさわしく賢くなったもんだぜぃ。環境を考慮して、部品の廃棄や焼却をするときには、金属と樹脂の分別が必須の時代だぁ。設計者なら、その設計責任を果たせ〜っ!


良

図面読めない、描けない、検図できない、設計審査できない……うちの課長も学んでほしいよなぁ。


エリカ

課長もひどいものです……。


甚

もう、よせよせ。上司の悪口は。部下から忠告して心入れ替えた上司なんてなぁ、1人もいねぇぞ! 社長の忠告なら別だがよぉ。


良

合点承知! うちの課長は、僕の反面教師だ。それでいい!


エリカ

そうですね!


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