フォードが「C-MAXハイブリッド」の燃費を下方修正、購入者に550ドル払い戻し:エコカー技術
Ford Motor(フォード)は、同社のハイブリッド車「C-MAXハイブリッド」について、米国環境保護庁(EPA)基準の燃費性能(複合モード)を47マイル/ガロン(mpg)から43mpgに引き下げると発表した。燃費性能の引き下げに合わせて、C-MAXハイブリッドの購入者に550米ドルを払い戻す方針である。
Ford Motor(フォード)は2013年8月15日(米国時間)、同社のハイブリッド車「C-MAX Hybrid(C-MAXハイブリッド)」について、米国環境保護庁(EPA)基準の燃費性能(複合モード)を47マイル/ガロン(mpg)から43mpgに引き下げると発表した。燃費性能の引き下げに合わせて、C-MAXハイブリッドの購入者に550米ドル(約5万4000円)を払い戻す方針である。
C-MAXハイブリッドは、2012年9月に米国市場で発売された5ドアハッチバックのハイブリッド車である。発売当時のEPA基準の燃費性能は、市街地走行と高速走行の両方を行う複合モードで47mpg(約20.0km/l)とされていた。これは、競合車種であるトヨタ自動車の「Prius v(日本での名称はプリウスα)」のEPA基準の複合モード燃費42mpg(約17.9km/l)を5mpg上回る。
しかし、米国の消費者向け月刊誌「コンシューマー・リポート」が、公表された燃費性能と実際の燃費との間に大幅な差があることを指摘するなど、C-MAX Hybridの燃費性能に対して疑念が持たれていた。
これに対してフォードは、C-MAXハイブリッドが、同時期に発売したセダンタイプのハイブリッド車「Fusion Hybrid」と重量クラスが同じで、パワートレインも同等のものを搭載していることから、燃費計測結果についてもFusion Hybridのものを使用していたと説明。実際にEPAでは、重量クラスとパワートレインが同じであれば、ボディ形状が異なる車両でも“姉妹車”として燃費計測結果を共有できるという慣行を採用している。
フォードがC-MAXハイブリッドのEPA基準の燃費を改めて計測したところ、複合モードで43mpgになった。Prius vとの燃費差は1mpgに縮まったものの、「5ドアハッチバックのハイブリッド車でトップの燃費であることに変わりはない」(同社)という。
フォードは、EPA基準の燃費を訂正するとともに、これまでのC-MAXハイブリッドの購入者に対して550米ドル、リースでの利用者に対して325米ドル(約3万1700円)返金すると発表した。
また同社は、トランスミッションなどを改良して、現行モデルよりも燃費をさらに高めたC-MAXハイブリッドを投入する方針も明らかにしている。
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