WEC3連勝中のレースカー、エンジンECUに「Cortex-A9」搭載のFPGAデバイスを採用:車載半導体
大手FPGAベンダーのXilinxは、2013年のWECで3連勝しているAudiのハイブリッドレースカー「R18 e-tron quattro」のディーゼルエンジン制御用ECUに、「Zynq-7000」が採用されたと発表した。Zynq-7000は、ARMのアプリケーションプロセッサコア「Cortex-A9」を搭載し、周辺機能や入出力インタフェースをFPGAのように再構成できる半導体製品である。
大手FPGAベンダーのXilinxは2013年7月、大手ティア1サプライヤRobert Bosch傘下のBosch Motorsport(ボッシュモータースポーツ)が開発したディーゼルエンジン制御用のECU(電子制御ユニット)に、Xilinxの「Zynq-7000」が採用されたことを発表した。このECUは、2013年のFIA世界耐久選手権(WEC)の第1戦(シルバーストーン6時間レース)、第2戦(スパ・フランコルシャン6時間レース)、第3戦(ル・マン24時間レース)と、これまでの3レース全てで優勝しているAudiのハイブリッドレースカー「R18 e-tron quattro」に搭載されている。
ボッシュモータースポーツが開発したECUは、マルチポイントインジェクションや圧力制御をはじめディーゼルエンジンの制御を全て担っている。他にも、エンジンに関するデータの収集や、トラクションコントロール、ピットインする際の速度リミッターといった機能も備えている。
Zynq-7000は、ARMのアプリケーションプロセッサコア「Cortex-A9」をデュアルコア構成で搭載するとともに、周辺機能や入出力インタフェースはFPGAのように再構成できる製品。ボッシュモータースポーツのECUでは、制御アルゴリズムをCortex-A9上でシーケンシャルに動作させる一方、FPGAのように回路を再構成できる部分は、エンジン動作と同期して他のシステムのデータを収集する際に用いるCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などのインタフェースやリアルタイムでの信号処理、入出力の制御といった機能に割り当てられている。
ボッシュモータースポーツは、同社が開発するECUにZynq-7000の採用をさらに広げていく方針。例えば、ガソリンエンジンの制御、データロガー、車載ディスプレイのグラフィックス制御などが検討されている。
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