国内RFIDシステム市場、タグの低価格化などを背景に持続的な成長:市場調査/予測
矢野経済研究所は、国内RFIDシステム市場に関する調査を実施。RFIDタグやリーダ/ライタ、プリンタ、関連ソフトウェアなどを含めたRFIDシステム市場の規模・推移を公表した。
矢野経済研究所は2013年8月8日、国内におけるRFID(Radio Frequency IDentification)システム市場に関する調査を実施し、その結果に基づき、RFIDタグやリーダ/ライタ、プリンタ、関連ソフトウェアなどを含めたRFIDシステム市場の規模・推移を公表した。
調査期間は、2013年3〜6月。RFID関連メーカー、ソリューションサービス事業者、ユーザー企業、業界団体などを対象に、直接面談や電話/電子メールによるヒアリングなどを実施。矢野経済研究所は、その結果を「2013年版 RFID市場の現状と展望」としてまとめ、同年6月28日に発刊(税込12万6000円)した。
本調査では、RFIDシステムの定義を“RFIDタグ(ICタグ)の電子回路に記憶された情報を、無線通信によって、非接触で読み書きする自動認識システム”としている。なお、技術的に広義のRFID(の一種)として捉えられるケースのある一般的な非接触ICカード(Suica、PASMO、Edyなど)は、本調査の対象には含まれない。
RFIDシステムの国内市場、緩やかなプラス成長見込む
2012年度のRFIDシステムの国内市場規模を、前年度比103.3%の666億9300万円(メーカー出荷金額ベース:以下同様)と推計。リーマンショックを境に、2009年度から2010年度にかけて、年率7〜10%ほど縮小したが、2011年度からは回復に転じたという。
2012年度は、総務省による周波数再編アクションプランの一環で公表された、UHF帯での電子タグシステムへの割り当て周波数帯の移行(950MHz帯→920MHz帯)計画に伴い、その状況を静観するユーザー企業が増えたことなどから伸び率は鈍化。しかしながら、回復基調に変化はないとしている。
2013年度は、UHF帯での新周波数移行を前に足踏みしていたユーザー企業が本格的にシステムの新規導入やリプレースに動き出すと予測。また、円高修正による景気回復基調が後押しとなり、RFIDシステム国内市場規模は前年度比112.4%の749億4900万円になると予想。
今後、増税による投資意欲の冷え込みの影響なども懸念されるが、アパレル業界といった新たな用途・業界での導入活発化や、国内設備投資を促進するための税制措置の創設による設備投資減税の実施、RFIDタグの低価格化がプラス要因として働くとする。2015年度からはUHF帯での新周波数移行に伴う特需や設備投資減税が終了し、伸び率は鈍化するとみられるが、RFIDタグ価格の低下が流通業界や物流業界などでのシステム導入を後押しし、全体ではプラスで推移すると予測。
こうした背景により、RFIDシステム国内市場の2012年度から2017年度までの年平均成長率(CAGR)は8.1%で推移し、2017年度の国内市場規模は983億8400万円まで成長すると予測する。
2014年度にはUHF帯の出荷数量がHF帯を抜く、価格は低下傾向
RFIDタグのメーカー出荷数量のHF帯/UHF帯別構成比をみると、2012年度はHF帯が60%でUHF帯40%だったが、2014年度には逆転し、両者のウェートはその後さらに開き、2017年度にはHF帯が39%でUHF帯が61%になると予測。ただし、HF帯のRFIDタグも製造業向け以外の組み込み用途やスマートフォンでのNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)用途の拡大などで、今後盛り返す可能性もあるという。
RFIDタグの価格推移については、低下が続くとしている。HF帯は2008年度で1枚当たり約86.5円であったが、2009年度から2010年度にかけて大きく低下。その後は大きく下がらず、2017年度で約60.7円/枚(2012年度比3.2%減)にとどまるだろうと予測する。UHF帯は、2008年度で1枚当たり約64円であったが、コンスタントに下がり続け、2017年度には約27.8円/枚(2012年度比31.7%減)になると見込んでいる。
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