NVIDIAが「Tegra」の車載展開を加速、自動運転や「iOS in the Car」もカバー:車載情報機器
NVIDIAは、モバイル機器向けのプロセッサ製品「Tegra」の車載展開を加速させている。アウディなどの車載情報機器に採用される一方で、自動運転技術や、「iPhone」と連携する車載ディスプレイモジュール「iOS in the Car」の開発にも利用されるという。
NVIDIAは、GPUコンピューティングイベント「GTC Japan 2013」(2013年7月30日、東京ミッドタウン)に併せて記者会見を開き、自動車分野における同社の事業展開を説明した。ARMのアプリケーションプロセッサコア「Cortex-Aシリーズ」とNVIDIAのGPUを集積したプロセッサ製品「Tegra」の車載展開を加速させており、自動運転技術や、「iPhone」などと連携する車載ディスプレイモジュール「iOS in the Car」の開発に、Tegraが採用されていることも明らかにした。
Tegraといえば、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器に採用されているプロセッサ製品として知られている。NVIDIAのオートモーティブディレクターを務めるDaniel M. Shapiro氏は、「車載分野では、Tegraとともにメモリなどの周辺ICや電子部品を搭載したモジュール製品『Tegra VCM(Visual Computing Module)』を展開している。これは、カーナビゲーションシステムやディスプレイメーターなどの車載情報機器を開発する上で、『Tegra 2』から『Tegra 3』、Tegra 3から『Tegra 4』というようなアップグレードを容易に行えるようにするためだ」と説明する。
Tegra VCMに関わるドライバやAPI(Application Program Interface)については、「Windows Embedded」や「QNX Neutrino」、Linuxといった車載情報機器に用いられているOSに依存しないものを独自に開発/提供していくとしている。ソフトウェア面でのサポート強化により、Tegra VCMのスケーラビリティを確保する戦略だ。
2010年1月に車載情報機器へのTegra採用を表明したAudi(アウディ)は、Tegra VCMを活用している企業の1つである。この他、Volkswagenや、電気自動車(EV)ベンチャーTesla MotorsのEV「Model S」にも採用されている。これらの量産車のTegra VCMにはTegra 2が搭載されているが、現在サンプル供給されているTegra 3を用いたTegra VCMに置き換えれば、より高性能の車載情報機器を早期に投入できる。Shapiro氏は、「これら以外の自動車メーカーや車載情報機器メーカーによるTegra VCMを用いた製品開発も進んでいる。現時点では話せないが、具体的な新型車への搭載事例を近々発表できるだろう」と語る。
「Jetson」は“タイムマシン”
NVIDIAは、Tegraのさらなる進化を車載情報機器に取り込むために、1DINサイズのプラットフォーム「Jetson」を用意している。Jetsonは、Tegra VCM(現時点ではTegra 3ベース)と、PCのグラフィックスボードなどに搭載されている「Kepler」アーキテクチャを用いたGPUが組み込まれている。つまり、Jetsonには、Tegra 4の後継と目されるモバイル機器向けの次世代プロセッサ製品「Project Logan」の機能が詰め込まれているわけだ(Project Loganのアプリケーションプロセッサは、Tegra 3の「Cortex-A9」ではなく「Cortex-A15」となる予定)。
Shapiro氏は、「Jetsonを使えば、あたかもタイムマシンで未来に行ったかのように、現時点では存在しないProject Loganを搭載した車載情報機器を開発できる」と強調する。例えば、運転支援システムをさらに進化させた自動運転技術の開発に利用できる。KeplerアーキテクチャによるGPUコンピューティングの処理能力を活用すれば、車載カメラで撮影した映像から他の車両や歩行者、標識などの認識が容易になり、自動運転技術に応用できるという。
また、Appleが「iOS 7」の最新機能として発表したiOS in the Carの開発プラットフォームとして、Jetsonが利用されていることも明らかにした。
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