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NVIDIA社が車載展開を拡大、新型「Tegra」で攻勢へ(1/2 ページ)

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 米NVIDIA社が、車載分野におけるIC製品の事業展開を拡大している。主に、カーナビゲーションシステム(以下、カーナビ)をはじめとする車載情報機器や、メーターなどの表示を液晶ディスプレイで行うデジタルクラスタ、予防安全システムなどの用途に向けて、パソコンやワークステーション向けのGPU(Graphics Processing Unit)製品で培った技術を組み込んだ製品を投入している。同社製品の採用は欧州メーカーを中心に広がりつつあるが、さらに、モバイル機器やタブレット型パソコン向けに発表しているSoC(System on Chip)「Tegra」の第2世代品を車載用途にも展開することによって、事業規模の拡大を目指す方針だ。

4つ目の主力製品

 NVIDIA社は、パソコン向けのGPU「GeForce」や、ワークステーション向けのGPU「Quadro」、そしてGPU技術を用いたハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)のプラットフォーム「Tesla」などで知られている。これら3つの主力製品に加えて、4つ目の主力製品として立ち上げようとしているのが、組み込み機器向けのTegraである。

図1新型Tegraの機能ブロック図
図1 新型Tegraの機能ブロック図 

 2008年6月に発表された第1世代のTegraは、英ARM社のマルチプロセッサコア「ARM11 MPCore」や、NVIDIA社のGPUコアなどを組み込んでいた。これに対して、2010年1月に発表した第2世代のTegra(以下、新型Tegra)は、ARM社の最新マルチプロセッサコア「Cortex-A9」をデュアルコア構成で搭載するほか、パソコン向けのGPU「GeForce 6800」相当の処理性能を持つGPUコアを備える。また、電力管理用に用いるARM社のプロセッサコア「ARM7」に加えて、画像処理用のプロセッサ、オーディオ処理用のプロセッサ、HD(高品位)映像のエンコード用とデコード用にそれぞれ専用のプロセッサを搭載することにより、大幅に性能を向上している(図1)。さらに、これら8つのプロセッサコアの機能をフルで使用した場合でも、消費電力を3W以下に抑えられることも大きな特徴である。

 なお、新型Tegraの動作周波数は、モバイル機器やタブレット型パソコン向けでは1GHzとなっている。しかし、車載向けでは、車載品質規格であるAEC-Q100をクリアするために、上限を900MHzに抑えている。

 日本法人のエヌビディアでインダストリーセールスマネージャーを務める浜田勝氏は、「新型Tegraの持つ機能は、モバイル機器やタブレット型パソコンだけでなく、車載分野でも生きると考えている。3D映像を多用するカーナビや、大型の液晶ディスプレイ上でさまざまな映像表示を行うデジタルクラスタ、車載カメラで撮影した画像を高速で処理する必要のある予防安全システムは、新型Tegraの高い処理性能と低消費電力性能が発揮できる用途だ」と語る。

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