新工場のシステムを3カ月で稼働! 理想科学の“理想”の生産管理システムとは?:製造IT導入事例(3/3 ページ)
印刷関連企業である理想科学工業は、柔軟なグローバル生産体制の構築に向け、生産管理システムを刷新。25年前に導入した自社製システムをパッケージシステムに置き換え、コスト削減と生産の可視化を実現し、グローバルニーズに即応する生産体制を確立する。
タイ新工場でのシステム稼働を3カ月で実現
ところが、タイ工場の新設が明らかになる。開業当初は試行運用と位置付け、少量の計画生産を実施し、タイの持つポテンシャルを確認。その間は生産管理システムを導入せずに運営してきたが、生産能力の拡張をすることに合わせ、今回構築した新システムの導入をすることを決定。2013年1月にプロジェクトを開始させた。
通常のシステム導入には長ければ数年かかるケースも多いが「業務プロセスの標準化ができていた点、タイ工場にはもともと導入していた生産管理システムがなかった点などから既存の業務プロセスとぶつかり合うことなく、非常に短期間で稼働させることができた。国内で苦労して構築した、システムと標準業務プロセスにより、1つの成果を発揮することができた」と伊藤裕昭氏は話している。また国内で運用定着に時間がかかったことから、タイでの導入には、主要メンバーを日本の同じシステムで研修するなど、教育期間を十分に設けたことが効果を発揮したという。
日本から一元管理
新システムは、アプリケーションサーバを日本に置き、シングルインスタンスで一元管理を行っている。「一元管理を行うことでシステム管理強化、運用の軽減ができる。またパッケージソフトを導入したことで属人化を避けられ、標準化を進めることができたことは大きい」と伊藤敦宏氏は話している。
現状では、新システムが全工場へ導入して間もないため、メンテナンスコストの削減などの数値的な効果については、まだこれからというところだが「タイ工場の短期導入は、生産体制の変化への迅速な対応という目指していたことを、実際にできるということを示してくれた。今後のグローバル対応に向けた1つの弾みになる」と加野氏は話している。
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