13の力を1つの大きな力に――総合力発揮のために旭化成が選んだERPシステム統合:製造ITニュース(2/2 ページ)
「1つの旭化成」を実現するために13あったERPを1つに統合することを選んだ――。SAPジャパンのユーザーイベント「SAP Forum Tokyo」では、旭化成が現在進行中のERPの統合プロジェクトについて紹介した。
旭化成の総合力を取り戻す
取り巻く経営環境が大きく変化する中、旭化成では中期経営計画として「For Tomorrow 2015」を策定。2011〜2015年の目標として「成長の追及」とそれに向けた「制度・仕組みの革新」を掲げた。その課題の1つとして「総合力の発揮」を挙げ、今までバラバラだった組織の一体感を作り出していくとともに、柔軟に組織体制を変更できるようにすることを決めた。
IT部門としてもこの方針の下、「経営に資するITをグローバルで実現・維持する」をあらためてミッションとして掲げ、よりビジネス貢献を重視したIT運営に踏み込むことを決めた。小林氏は「旭化成グループ全体の一体経営を実現し、総合力を発揮するためには、基幹システムの統合は必須事項だ。そのため新たな経営統合プラットフォームの立ち上げを行うことを決めた」と話す。
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もともと各事業会社の基幹システムは、1996年から「SAP R/3」を導入していたが、それぞれ別システムで業務プロセスそのものもバラバラ。そのため統合するには、業務プロセスの標準化や共通化から開始した。また一方で現実の業務に影響を与えないよう柔軟性を確保したシステム構築を目指したという。
具体的には、ERPインスタンスの統合、アドオンの削減、帳票の削減などを行った。また新技術としてインメモリプラットフォーム「SAP HANA」の導入も決めた。アドオンは従来の4500本を1500本に、帳票は1万5000本を1000本への削減を予定し、システムのトータルコストを2〜3割下げることを目指した。
第1期プロジェクトは無事完了
第1期の開発と移行は2012年3月期からスタート。2年間かけて全社共通部分と最大事業会社である旭化成ケミカルズの移行を完了させたという。現在第2期、第3期の移行を進めているところだ。「販売・物流システムの統合などでは苦労した面もあったが、第1期は大きなトラブルなく移行することができた。第1期のノウハウを生かし第2期、第3期も取り組んでいるところだ」と小林氏は話す。15年3月期には、新システムへの全面移行を終える計画としている。
小林氏は「長い歴史の中で積み上げてきたビジネスの流れをいかに壊さないような形で、新たな基幹システムによりさらに高度化するか、ということを念頭に新システム移行に取り組んできた。より柔軟に時代の変化に対応できるビジネス構築をサポートするとともに、変化に応じた組織体制などを組めるようにしていきたい」と話している。
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