日産の電動レースカー「ZEOD RC」はエンジン走行も可能? 2014年のル・マン参戦:時速300km以上を達成
日産自動車は、2014年の「ル・マン24時間耐久レース」に参戦する電動レースカー「ZEOD RC(Zero Emission On Demand Racing Car)」を発表した。ZEOD RCは、モーターと電池だけで走行する純粋なEVレースカーではなく、エンジンをはじめ他のドライブトレインも併せて搭載するという。
日産自動車は2013年6月21日、2014年の「ル・マン24時間耐久レース」(以下、ル・マン)に参戦する電動レースカー「ZEOD RC(Zero Emission On Demand Racing Car)」を発表した。最高速度は時速300km以上で、「電動レースカーとしては世界最速」(同社)だという。
ZEOD RCが2014年のル・マンで参加するのは、革新的で新しい技術を紹介する車両のための「ガレージ56」枠となる。
ZEOD RCの開発チームは、2012年のル・マンにガレージ56枠で参戦した日産のレースカー「DeltaWing(デルタウイング)」の開発チームを率いた、Ben Bowlby(ベン・ボウルビー)氏が指揮する。実際に、ZEOD RCは、昨年のデルタウイングを彷彿(ほうふつ)とさせる、三角翼(デルタウイング)形状であり、ボウルビー氏のデルタウイングに関する知見やノウハウが役立てられることになりそうだ。
また、ZEOD RCでは、日産自動車が市販している電気自動車(EV)「リーフ」と同じリチウムイオン電池技術を活用するという。同社の子会社であるオートモーティブエナジーサプライのラミネート型電池セルを活用することになりそうだ。
EVレースカーではない?
ZEOD RCの開発は、日産自動車がル・マンのトップカテゴリーであるLMP1(ル・マン・プロトタイプ1)クラスに復帰するためのプログラムの一環となっている。ここで注目すべきなのは、ZEODの「ゼロエミッション走行をオンデマンドで」という意味だろう。ZEOD RCは、モーターと電池だけで走行する純粋なEVレースカーではなく、エンジンをはじめ他のドライブトレインも併せて搭載する計画があるのだ。
同社副社長のAndy Palmer(アンディ・パーマー)氏は、「ドライバーがモーター走行とエンジン走行を切り替える機能は、将来の市販車両に求められる可能性がある」と語る。ボウルビー氏も、「2014年のル・マンまでの12カ月間で、電動走行とそれ以外の走行が可能な『マルチプルドライブトレイン』の広範なテストを行いたい」と述べている。
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