サービス部門をプロフィットセンターへ――サービスは利益を生み出す宝の山:製造マネジメントニュース PTC Live Service Exchange 2013(2/3 ページ)
PTCは、ユーザーカンファレンス「PTC Live Global」の一環としてサービス部門を対象とした「Service Exchange」を開催。サービス部門は企業のブランドや製品のライフサイクルを管理する上で重要な部門であり、最適な管理を行うことでコストを抑え利益をもたらすプロフィットセンターになり得ることを訴えた。
サービス部門には業務プロセス改革が必要
Service Exchangeでは、サービスに対する製造業としての考え方の変化や、アフターサービス部門の実運用などについて紹介が行われた。「Service Transformation Industry Spotlights」をテーマとしたセッションでは、自動車メーカーの仏ルノーやスウェーデンの家電メーカーエレクトロラックスが、経営面におけるサービスの重要性や、変革の意義について語った。
ルノーのアフターセールスエンジニアリング部門バイスプレジデントであるセバスチャン・サミュエル(Sebastien Smuel)氏は、顧客を取り巻く一環したサービスの提供に対し「ブランドごとに同じ顧客体験を提供できるようにあらゆるサービスを一貫性を持って組み立てていくことが重要だ」と強調する。
ルノーは、よりよい暮らしをイノベーションを通じて提供する「INNOVATION FOR A BETTER LIFE」を企業スローガンとしており、さらに、人を中心としどのような顧客体験を企業として提供できるかをテーマに掲げている。
サミュエル氏は「販売店で触れ合うとき、インターネットでサイトを見るとき、苦情に対応するとき、SNSでの関係など、1つのブランドのもと同じレベルのサービスを提供できるようにしなければならない。アフターセールスサービスも同様で、修理やメンテナンスなど、一貫性を構築していくことが必要だ。これらの対応が最終的なブランドや顧客からの信頼性につながる」と語った。
また、適切なサービスを提供するのに「技術の採用が必要だ」(サミュエル氏)とし、自動車にAndroid端末を搭載し情報の授受を行う「R-Link」や、顧客の問い合わせに短時間で答えられるサービス情報を連携させた情報システムの価値を訴えた。
ブランドとサービスを合わせる
一方、エレクトロラックスのEMEAアフターマーケット&カスタマーケア部門代表のマッコイ氏は「ブランドとサービスのレベルを合わせるのがサービス部門を運営するにおいて非常に重要になってくる」と語る。
グローバル家電メーカーであるエレクトロラックスは、プレミアムブランドとして位置付ける「Electrolux」「AEG」の他、ニッチブランドの「GRAND CUISINE」「MOLTENI」、マスブランドの「FRIGIDAIRE」「EUREKA」などの多くのブランドを扱っている。「サービス部門はブランド価値に直結しており、それぞれのブランドに応じた顧客の期待値に正しく応えるサービス設計が必要になる」とマッコイ氏は話した。
またサービスを提供する上で顧客の期待値を上回る体験を提供できれば、それは将来のビジネス拡大につながるとし「事業の全ての問題はサービス部門に現れる。問題解決のためにはサービス部門だけでなく、サービス部門からR&D部門へフィードバックできる仕組みなども必要だ」とマッコイ氏は強調した。
サービス部門はコストセンターではない
またパネルディスカッションでは、これらの登壇者に対して「どうやってサービス部門の変革を実現したのか」ということに関する質問が集中。製造業にとってサービス部門はコストセンターと見られがちで、さらに企業内での発言権が低い。
これに対しルノーのサミュエル氏は「まずは企業文化の変革、それに伴う組織改革が大きかった。サービス部門はコストセンターとして見られているのが大きい。本来は修理やパーツ販売などで売り上げが上がる部門であるが、それに伴う在庫管理などコストが伴う。それをどう管理し、利益を上げるのかを示していくことが重要だ」と話す。
一方エレクトロラックスのマッコイ氏は「企業文化やリーダーシップをどう管理していくかが重要になる。企業の上層部は理解は示してくれるが行動が伴わないケースが多い。またIT部門がサービス部門を見る目などもある。サービス部門としては常に必要性や重要性、ビジネス価値を周囲に伝えていく必要がある」と話した。
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