医薬品製造受託市場、新規参入が拡大し2012年3月期は9.7%増の5100億円に:製造マネジメントニュース
矢野経済研究所によると、医薬品製造受託市場の規模は、中堅新薬系企業などの新規参入や製造受託事業強化の流れから、順調に拡大が進む見込み。しかし価格競争が激化し、製造受託企業にはさらなる生産コストの削減が求められているという。
新規参入が増加
矢野経済研究所は、2013年5月28日、医薬品製造受託市場に関する調査結果を発表した。それによると、2012年3月期の医薬品製造受託市場の規模は、新規参入が相次いだことにより、前期比9.7%増の5100億円となったという。その一方で、今後は新規参入増加による価格競争が激化することから、成長率は鈍化する見通しを示した。
医薬品製造受託市場は、2005年4月に改正薬事法が施行されたことにより、生産工場を持たずに製造販売業の許可と製品の承認を受けることで販売できる仕組みとなったことから急速に拡大。製薬会社の製造部門の全面外部委託が可能となったことから、新規参入が相次ぎ、成長が続いている。
同社によると、2012年3月期も前期比9.7%増の5100億円に成長したと推計する。大手新薬系企業は投資を研究開発中心としており、特許の切れた新薬などを中心に製造の外部委託を行うケースが増加。また中堅新薬系企業では、ジェネリック医薬品(後発医薬品)製造・販売とともに製造受託に注力する企業が増える見込みとしており、製造受託企業そのものが増えている。
製造設備増強や品質管理体制強化も
従来の製造受託企業は製造設備の増強を図るとともに、品質管理体制を強化するなど、委託企業のニーズに対応する動きを強めている。また製造工程の全面委託や税約企業各社の剤型の一括委託が増えており、すみ分けが進む見込みだ。さらに製薬企業の国際化に対応するため、製造受託企業の海外進出なども加速。既に東南アジアの現地の日系製造受託企業の買収、新工場の建設などの動きも出てきたという。
同社では、2013年3月期以降も医薬品製造受託市場は拡大基調にあると予測するが、参入企業の増加に伴う価格競争が一段と激化し、成長率の鈍化を予測している。また、東南アジアなどの日系製薬会社の現地工場との競合も予測され、剤型については国外工場への製造委託を検討する企業が増える見込みだという。一方、特別な設備が必要とされ、付加価値の高い抗がん剤などの高薬理活性製品や特殊剤型などは日本国内での製造委託が継続する見通しを示す。
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