経営者の皆さん、ITっていうのは「壁を壊す道具」なんです:モノづくりにおけるITをもう一度考える(1)(2/4 ページ)
「情報」や「IT」の重要性はずっと指摘されてきたものの、今でも悩む経営者は多い。企業における「ITの価値」は何かを、現場改善のコンサルティングを行う筆者が、あらためて考えてみた。
いつの時代もキーワードは「情報」
独立起業して3年間、私は「明るく楽しい現場からしか良い製品、サービスは生まれない」(関連記事:明るく楽しい職場からしか良い物は生まれない)をモットーに「現場改善のお手伝い」をしてきた。その間多くの現場管理者、スタッフから仕事に関する「お悩み」を聞いたが、最も多く耳にした単語が「情報」ではないかと思う。
- 「情報が伝わらない」
- 「情報が手に入らない」
- 「情報が間違っている」
多くの人たちがこのIT全盛の時代に「情報」に何らかの不満を持っていることは、私の想像をはるかに超えていた。今や規模の小さな企業でもメールやインターネットの環境は整っている。しかし、情報伝達の手段は発達しているものの、情報のやりとりに問題があるというのは一体どういうことなのだろうか。
セクショナリズムを突き崩せ!
社内の情報の問題、すなわちコミュニケーション不足は、企業にとっての競争力を阻害するセクショナリズムの大きな要因となっている。このセクショナリズムによる企業内の問題点が下の図1だ。
図1のグレーの部分が「どの部門がやるべきか決まっていない・明確になっていない」領域になる。まさに業務のグレーゾーンで「部門間の見えない壁」になっている。所属部門内での仲間意識が強いがために、顧客ではなく他部門との利害を真っ先に考えてしまう状態になる。
私は、部門間に存在する「壁」は、企業の機能的には「穴」だと考えている。例えば、野球の守備の場面を想像してほしい。センターとライト、セカンドの担当する守備範囲が徹底されていない場合には、間にポトンと落ちる「ポテンヒット」が起こりやすい。部門間の「壁」はそれに似ている。
仕事でのポテンヒットとは何か。それは予期しないクレームだったり、電話対応での「たらい回し」などに現れ、企業の信頼低下に結び付くものだ。繰り返し続けば、最終的には「競合他社との競争に負ける要因」になってしまう。まさに経営面での大きな損失だといえるだろう。
競合相手は海外、市場も海外、となる大競争時代の今、セクショナリズムなどという内向きな問題にエネルギーを費やしている場合ではない。では、そのセクショナリズムを解消する対応策にはどういうことがあるだろうか。
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