EVとHEVのインバータの小型化が可能、三菱電機のパワー半導体モジュール:車載半導体
三菱電機は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の走行用モーターを駆動するインバータ向けに、6in1タイプのパワー半導体モジュール「J1シリーズ」を発表した。従来品よりも20%小さい実装面積や直接水冷構造の採用により、インバータの小型化が容易で、第6世代IGBTの搭載による低消費電力化も実現している。
三菱電機は2013年5月13日、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の走行用モーターを駆動するインバータ向けに、6in1タイプのパワー半導体モジュール「J1シリーズ」を発表した。従来品よりも20%小さい実装面積や直接水冷構造の採用により、インバータを小型化が容易で、第6世代IGBTの搭載による低消費電力化も実現している。同年9月30日からサンプル出荷を始める。サンプル価格は、電圧650V/電流600A(定格値)の品種「CT600CJ1A060」、同900V/400Aの品種「CT400CJ1A090」ともに6万5000円(税抜き)。量産開始は2015年度を予定している。
J1シリーズは、IGBTとダイオードを6個ずつ組み込んだ6in1タイプのパワー半導体モジュールであり、これ1個と周辺部品を組み合わせればインバータを構成できる。実装面積は117×113mmである。これは、IGBTとダイオードを2個ずつ組み込んだ2in1タイプの従来品「Jシリーズ T-PM」(実装面積64×84mm)3個を2mmの間隔で並べて使用する場合と比べて、実装面積が20%少なくて済むという。加えて、パワー半導体モジュールに冷却フィンを一体化した直接水冷構造によって、Jシリーズ T-PMに放熱グリスを介してアルミニウム製冷却フィンを取り付ける場合と比べて放熱特性を40%向上している。これによって、さらなるインバータの小型化が可能だ。
IGBTに第6世代品を採用することで、コレクタ−エミッタ間飽和電圧(VCE)をJシリーズ T-PMよりも約15%低減。低消費電力化を実現している。VCEは、CT600CJ1A060が1.4V、CT400CJ1A090が1.7Vである。
なお、J1シリーズは、ドイツのニュルンベルグで2013年5月14〜16日に開催される展示会「PCIM Europe 2013」に出展される予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ベクター形式画像データを直接取り込み、三菱電機のメーター用液晶モジュール
三菱電機は、建設機械や船舶、二輪車のディスプレイメーター、産業機械用モニターなどに最適な「インテリジェントGUI(Graphical User Interface)搭載TFT液晶モジュール」を発表した。Adobeの「Illustrator」や「Flash」などで作成したベクター形式の画像データを、同モジュール内に組み込んだグラフィックスボードにそのまま取り込めることを特徴とする。 - EVのインバータで重要なのはパワー半導体だけじゃない、ゲートドライバにも注目
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の性能を左右するインバータ。インバータに用いられる重要部品としてパワーMOSFETやIGBTなどのパワー半導体が知られているが、そのパワー半導体を駆動するゲートドライバICも必須の部品である。 - 三菱電機の車載パワー半導体モジュール、電動車両のモーター駆動用
三菱電機は2011年4月、ハイブリッド車や電気自動車のモーター駆動に用いるパワー半導体モジュールとして、「Jシリーズ T-PM(Transfer molded-Power Module)」を発表した。