蜜月深めるトヨタとMicrosoft、「GAZOO.com」を「Windows Azure」で一新:5月30日に新サイトを公開(2/2 ページ)
トヨタ自動車は、自動車ユーザー向けWebサイト「GAZOO.com」について、Microsoftのクラウドサービス「Windows Azure」とビジネスコラボレーションプラットフォーム「SharePoint Server 2013」を用いて一新し、2013年5月30日に公開すると発表した。これにより、月間訪問者数を、現在の165万人から、2014年に200万人に増やすことを目標としている。
年々深まるトヨタとMicrosoftの連携
トヨタ自動車が、GAZOO.comを一新する際に必要としていたのが、「検索性能」、「SNS関連機能」、「膨大な情報の管理と柔軟なアクセス」である。日本マイクロソフトの執行役常務でエンタープライズビジネスを担当する小原たく(琢の右偏に点を一画加えた漢字)哉氏は、「Windows Azureの新サービスである、仮想サーバをクラウド上で運用可能な『Windows Azure仮想マシン』と、ブログやSNSを扱う機能を標準装備し、検索機能を大幅に高めたSharePoint 2013が、これらの要求を満たしており、採用に至った」と述べる。
なお、Windows Azure仮想マシンとSharePoint 2013の組み合わせを、一般消費者向けWebサイトのプラットフォームに採用するのは今回が初の事例となる。日本マイクロソフトは、今回のGAZOO.comへの採用を皮切りに、ユーザー向けWebサイトを構築するためのプラットフォームとして展開を拡大させる方針だ。
システム構築は、トヨタ自動車と子会社のトヨタメディアサービスが、日本マイクロソフトのコンサルティングサービスと連携しながら、Microsoft本社の開発部門から正式リリース前のWindows Azure仮想マシンとSharePoint 2013の技術情報提供を受けつつ、インドの子会社MSGD(Microsoft Serveices Global Delivery)を使ってオフショア開発したという。
トヨタ自動車とMicrosoftは、2011年4月に次世代テレマティクスプラットフォーム構築に向けた戦略提携を締結した(関連記事:電気自動車にはクラウドが不可欠、Microsoftとトヨタがサービス構築で提携)。既に、プラグインハイブリッド車「プリウスPHV」向けにWindows Azureを用いたカーナビゲーションサービスなどを提供している。
その後2012年10月には、トヨタ自動車社内のグローバルコミュニケーションプラットフォームに、MicrosoftのSharePointを採用するなど、年々両社の連携は深まっている(関連記事:トヨタ、グローバルの情報共有基盤にマイクロソフト製品を採用)。GAZOO.comの一新では、さらに一歩踏み込んで、Windows AzureとSharePointの両方を活用することになった。
トヨタ自動車はGAZOO.comに続き、TOYOTA.jp、レクサスブランドの商品情報サイト「lexus.jp」、企業サイトの「toyota.co.jp」などにも、Windows Azure仮想マシンの採用を検討している。同じクラウドプラットフォームの採用によって、運用コストの低減や変更の即時性の向上などが期待できるという。ただし、これらのサイトは、ブログやSNSとの連携や検索機能の強化を行う必要がないことから、SharePoint 2013は導入しない方針だ。
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