スズキの「スペーシア」は「N BOX」より110kg軽い、「タント」とも比較:東武特急じゃありません(2/2 ページ)
スズキは、トールワゴンタイプの軽自動車「スペーシア」を発表した。競合車種となるホンダの「N BOX」やダイハツ工業の「タント」と同等以上の室内寸法を確保しながら、次世代環境技術「スズキグリーン テクノロジー」の採用や従来比で90kgに達する軽量化によって、29.0km/l(リットル)という良好なJC08モード燃費を達成した。
「N BOX」、「タント」と比較
スペーシアと競合するのが、全高1700mm以上の軽トールワゴンである、N BOXとタントである。
表1では、スペーシア、N BOX、タントの外形寸法(全長×全幅×全高)、ホイールベース、室内寸法(室内長×室内幅×室内高)、荷室開口部の寸法(開口幅×開口高×地上高)、後部座席左側の開口寸法(開口幅×ステップ高)、車両重量、JC08モード燃費、車両価格(税込み)を示している。なお、これらの仕様値は、後部座席左側にパワースライドドアを搭載する2WDモデルを用いている(スペーシアとタントは「Xグレード」、N BOXは「G Lパッケージ」)。
車両名 | スペーシア | N BOX | タント |
---|---|---|---|
外形寸法 | 3395×1475×1735mm | 3395×1475×1770mm | 3395×1475×1750mm |
ホイールベース | 2425mm | 2520mm | 2490mm |
室内寸法 | 2215×1320×1375mm | 2180×1350×1400mm | 2160×1350×1355mm |
荷室開口部の寸法 | 1130×1110×535mm | 1055×1200×480mm | 1120×1040×595mm |
後部座席左側の開口寸法 | 580×340mm | 640×380mm | 580(1480)×370mm |
車両重量 | 850kg | 950kg | 930kg |
JC08モード燃費 | 29.0km/l | 24.2km/l | 25.0km/l |
車両価格 | 132.3万円 | 136万円 | 132万円 |
表1 全高1700mm以上の軽トールワゴンの比較 |
外形寸法を見ると、全長と全幅は軽自動車の規格内に収めるために同じだが、スペーシアの全高は、N BOX比で35mm、タント比で15mm低い。ホイールベースについても、スペーシアが新プラットフォームによって2425mmに拡大したものの、N BOX比で95mm、タント比で65mm短い。その一方でスペーシアは、室内長が2215mmと最も大きい。室内高も1375mmあり、全高で35mm上回るN BOXよりも25mm低いだけで、同じく全高で15mm上回るタントよりも20mm高い。ただし、室内幅については、N BOXやタントよりも30mm狭い。
全高1700mm以上の軽トールワゴンの場合、荷室ドアを開けた際の開口部の寸法や、パワースライドドアを装備した後部座席左側の開口寸法も評価基準の1つになっている。荷室開口部は、開口幅がスペーシアが一番広いものの、開口高はN BOXが最も高い。荷物を持ち上げる高さの基準になる開口部の地上高も、N BOXが最も低い。後部座席左側の開口幅は、N BOXがスペーシアとタントよりも60mm広い640mmとなっている。ただし、センターピラーを持たないタントは、助手席側ドアと合わせれば1480mmもの開口幅を持つ。後部座席への乗りやすさの指標となるステップ高は、スペーシアが最も低く340mmとなっている。
車両重量は、高張力鋼板を採用するなどして軽量化を図ったスペーシアが850kgと極めて軽い。燃費を向上するスズキグリーン テクノロジーを新たに搭載したにもかかわらず、パレットと比べて90kgの軽量化を実現した。ただし、最も重いN BOXは、2014年10月からの搭載義務化に先行対応した横滑り防止装置や、走行中に急ブレーキを踏んだ際にハザードランプが自動で高速点滅して後続車両に注意を促す「エマージェンシーストップシグナル」といった安全システムを標準搭載しており、その分の重量を考慮する必要がある。一方、スペーシアとタントは、横滑り防止装置をオプションで選択することもできない。
JC08モード燃費については、軽量化と空気抵抗の低減、スズキグリーン テクノロジーによって、スペーシアが29.0km/lと圧倒している。車両価格がほとんど変わらない以上、4〜5km/lものカタログ燃費の差は、ユーザーの購入判断に大きく影響するだろう。
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