韓国に負けたのか日本企業、燃料電池で東芝とパナが健闘:知財ニュース(2/3 ページ)
家庭の据え置き用途、燃料電池車、携帯型用途……。燃料電池は発電効率が高い他、燃焼ガスの発生が少なく発電技術だ。動作音が静かであることも他の発電技術と比較して有利だ。燃料電池の研究開発は米国で始まり、日本と米国を中心に実用化が進んでいる。では特許戦略では日本は優位にあるのか。
どの分野に強みがあるのか
Samsung SDIのもつ強い特許は、「末端スルホン酸基を持つポリマ、そのポリマを用いるポリマ電解質及び燃料電池」などだ。直接メタノール形燃料電池(DMFC)分野に特徴があるという。
東芝もDMFCで強い。「燃料電池および燃料電池システム」などで注目度の高い特許を多く有している(図2、関連記事)。
パナソニックが強いのは固体高分子形燃料電池(PEMFC)だ。「固体高分子電解質型燃料電池用膜・電極接合体」などに特徴がある。
調査対象とした特許は1980年から2012年12月末までに米国特許商標庁(USPTO)で公開されたもののうち、特定の分類*2)に当てはまる特許7556件である。
*2) 分類として、2013年1月1日から米国特許商標庁と欧州特許庁(EPO)で発行した特許分類体系CPC(Cooperative Patent Classification)を用いた。CPC「Y02E60/521(固体高分子形燃料電池(PEMFC))」とCPC「Y02E60/526(溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC))」に当てはまるものを調べた。
伸びが著しいサムスンと東芝
前ページの図1は現時点の状況を示したものだ。Samsung SDIが強いことは分かるが、各企業の強さがどのように移り変わってきたのかは分からない。そこでパテント・リザルトは、上位10社について、2013年の状態と2006年の状態を比較した。順位(総合力)と有効特許件数の変化が分かる(表1)。
表1を見ると、Samsung SDIはこの期間、有効特許件数を2.6倍に高めただけでなく、強い特許(権利者スコア)を増やすことに成功し、総合力を30倍近く向上させたことが分かる。このような傾向は2位の東芝にも当てはまる。有効特許件数が2.5倍、総合力は7.3倍に伸びているからだ。
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