APEVが超小型EV向けモーター/インバータを共同購入へ、価格目標は500ドル:電気自動車
電気自動車普及協議会(APEV)は、2人乗りの超小型電気自動車(EV)の開発促進を目的に、共同購入によって走行用のモーターとインバータを従来よりも安価に入手するための取り組みを進めている。価格目標は、最高出力が5kWのモーターと、このモーターを駆動するインバータの合計で約500米ドル(約4万4000円)である。
電気自動車普及協議会(APEV)は2013年1月15日、東京都内で開いた記者会見で、2人乗りの超小型電気自動車(EV)の開発促進を目的に、共同購入によって走行用のモーターとインバータを従来よりも安価に入手するための取り組みを進めていることを明らかにした。価格目標は、最高出力が5kWのモーターと、このモーターを駆動するインバータの合計で約500米ドル(約4万4000円)である。
今回の共同購入の取り組みのベースになっているのが、フィリピンの交通機関として広く利用されている三輪タクシー(トライシクル)を代替する超小型EVの開発プロジェクトである。APEVはこのプロジェクトに関わっており、トライシクルを代替するEV向けに、最高出力5kWのモーター/インバータと同8kWのモーター/インバータを、安価かつ大規模に調達するため、日本や海外のメーカーと交渉を進めている。
APEVの会長を務めるベネッセホールディングス会長の福武總一郎氏は、「このトライシクル代替EV向けと同じ金額で、日本のAPEV会員もモーター/インバータを共同購入できるようにしたい。現在は、最高出力5kWのモーター/インバータを、500米ドル以下に下げられるかどうか交渉しているところだ」と語る。
国土交通省は2013年1月から、第一種原動機付き自転車と軽自動車の中間に位置する、2人乗りの超小型車を認定する制度の運用を開始している。この超小型車はEVが主流になるとみられているものの、EV用のモーターやインバータが高価なことが普及に向けた課題になると言われている。
APEVの代表幹事を務めるタジマモーターコーポレーション会長兼社長の田嶋伸博氏は、「現時点で入手可能なEV用のモーター/インバータは、大まかに分けて2種類ある。1つは、電動のフォークリフトやゴルフカート向けに開発された輸入品である。この場合、価格は高くないものの、EVに用いるには満足な性能が得られないという問題がある。もう1つは、国内の大手メーカーによる試作品だ。こちらは極めて高い性能が持っているものの、価格が100万〜400万円と高価であり、実証実験用車両に使えても、量産には向かない」と説明する。
田嶋氏は、「今回の共同購入によって、一定の性能を持つモーター/インバータを安価に入手できるようになれば、EVに新たな可能性が見えてくるのではないか」と期待している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 超小型車の認定は軽自動車をベースに保安基準を緩和、地方公共団体が窓口に
国土交通省は、1〜2人乗りの超小型車について、軽自動車をベースに、道路運送車両法の基準緩和制度を利用して車両の認定取得を可能にするための法整備を進めている。2013年3月末までに新たな基準を策定した後、地方公共団体を窓口にして認定申請を始める。 - 1人乗りEV「コムス」はコスト低減で60万円以下に、セブンイレブンが宅配に採用
トヨタ車体が1人乗り電気自動車(EV)「コムス」を発売した。鉛電池やスチールフレームの採用により、補助金込みの実質価格を60万円以下に抑えた。コンビニエンスストア大手のセブン-イレブン・ジャパンが、宅配サービスにコムスを採用することも明らかになった。 - 2人乗りEVを日産自動車が開発、公道走行実験へ
原付では物足りないが、セダンは必要ない。高齢者や単身者世帯では2人乗りEVを望む層が無視できない。日産自動車は開発中の2人乗りEVを使って、3つの地方自治体と共同で公道での走行実証実験を開始する。