4種類のHEVシステムを展開する日産、2016年度までに15車種を投入:S-HYBRIDも含めて
日産自動車は、2016年度末までにハイブリッド車(HEV)を新たに15車種投入する。これら15車種は、既に量産車に採用されているFR車向けハイブリッドシステム(HEVシステム)やマイクロHEVシステム「S-HYBRID」、新開発のFF車向けHEVシステムを搭載する車両に加えて、2015年度に発売するプラグインハイブリッド車から構成される。
日産自動車は2012年12月12日、2016年度までの環境への取り組み「NGP(ニッサン・グリーンプログラム)2016」の進捗説明において、2016年度末までにハイブリッド車(HEV)を新たに15車種投入する方針を明らかにした。
3種類のハイブリッド+プラグイン
同社は、電気自動車(EV)に注力する姿勢を鮮明にしているものの、独自のハイブリッドシステム(以下、HEVシステム)開発も進めている。これまでに、後輪駆動のFR(フロントエンジン・リアドライブ)車向けのHEVシステム、アイドルストップシステム用のモーターの出力を高めて走行に利用できるようにしたマイクロHEVシステム「S-HYBRID」を開発し、量産車に搭載している。
FR車向けHEVシステムは、2010年11月発売の「フーガ ハイブリッド」に初めて採用した(関連記事1)。その後、2012年5月発売のハイブリッド専用車「シーマ」にも展開を広げている。また、フーガ ハイブリッドは、北米市場で「Infiniti M Hybrid」として販売している。
現在、S-HYBRIDを搭載している車種は、2012年8月発売のミニバン「セレナ」だけである(関連記事2)。小型・低コストのS-HYBRIDは、セレナのような前輪駆動のFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車だけでなく、フーガのようなFR車にも搭載できる。
現在のHEV市場は、トヨタ自動車の「プリウス」やホンダの「フィット ハイブリッド」といったFF車がそのほとんどを占めている。これら両社が、日産自動車よりもHEVで先行できているのは、FF車向けHEVシステムの技術を有しているからだ。これに対して日産自動車も、HEVの多車種展開に必須のFF車向けHEVシステムを開発中である。2013年に北米市場で発売する車両に採用する計画で、その後搭載車種を順次増やす予定である(関連記事3)。
これらの他、2015年度にプラグインハイブリッド車(PHEV)を発売する計画も明らかになっている。ただし、モーターや電池などシステムの詳細は明らかになっていない(関連記事4)。
今回発表した2016年度までに投入する15車種は、これら4つのHEVシステムを搭載する車両である。内訳は明らかにされていないものの、FF車向けHEVシステムとS-HYBRIDが過半数を占めるとみられる。またこの15車種には、現在量産販売しているHEVのフルモデルチェンジも含まれるという。
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