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電動自動車が中核に、「LFA」の部品に存在感第41回東京モーターショー(1/2 ページ)

『第41回東京モーターショー』が、2009年10月24日から11月4日まで幕張メッセで開催された。各社の展示の中核となったのは、ハイブリッド車、電気自動車、プラグインハイブリッド車など電動自動車のコンセプトカーとその関連技術である。ここでは、特集記事「本格化するEV/PHEV開発」で紹介した電気自動車とプラグインハイブリッド車以外の展示について紹介する。

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“百花繚乱”の独自技術

 日産自動車は、2010年秋に発売する「フーガ ハイブリッド」(写真1)と、同車に搭載する1モーター/2クラッチのハイブリッドシステム(写真2)を展示した。


写真1日産自動車の「フーガハイブリッド」
写真1 日産自動車の「フーガハイブリッド」 コンパクトカー「ティーダ」と同等の燃費を目指しているという。
写真2フーガハイブリッドのハイブリッドシステム
写真2 フーガハイブリッドのハイブリッドシステム インバータは展示されなかったが、ベースとしている「フーガ」が鉛電池を設置している場所に組み込まれる予定である。
写真3富士重工業の「HybridTourerConcept」
写真3 富士重工業の「HybridTourerConcept」 水平対向エンジンやトランスミッションをはじめ、左右対称に構成されている同社の駆動システムに最適なハイブリッドシステムを搭載する。
写真4ボッシュのハイブリッドシステムのデモ
写真4 ボッシュのハイブリッドシステムのデモ 画面の指示に従ってアクセルとブレーキの操作を行うことで、ハイブリッド車とガソリンエンジン車の燃費やCO2排出量を比較できる。
写真5ヤマハ発動機の「HV-X」
写真5ヤマハ発動機の「HV-X」 従来の2輪車における燃料タンクの部分にリチウムイオン電池を搭載している。
写真6トヨタ自動車の「LF-Ch」
写真6トヨタ自動車の「LF-Ch」 スポーティさをアピールするために、レーシングカーなどで採用されているパドルシフトを装備している。

 このハイブリッドシステムは、排気量3.5l(リットル)のV6アトキンソンサイクルエンジン、出力50kWのモーター、インバータ、オートモーティブエナジーサプライ製で容量が1.3kWhのリチウムイオン電池パック、ジヤトコ製のハイブリッド車用7速AT(自動変速機)から構成される。モーターは、エンジンと自動変速機の間に挟み込まれており、2つのクラッチは、それぞれエンジンとモーターの間と自動変速機の後部に設置されている。エンジンとモーターの間のクラッチは、モーターで走行する際にエンジンとモーターを分離する役割を果たす。一方、自動変速機後部のクラッチは、リチウムイオン電池を充電するためにモーターを発電機として使用する際などに用いられる。

 富士重工業は、独自開発のハイブリッドシステムを搭載した4輪駆動ハイブリッド車「Hybrid Tourer Concept」を展示した(写真3)。前輪側に、排気量2lの水平対向エンジンと出力10kWのモーターを、後輪側に出力20kWのモーターを配置している。2次電池には、容量1kWhのリチウムイオン電池を採用する。前輪側のモーターは、主に発電機として用いられるが、坂道や高速走行においてはエンジン走行の駆動をアシストする。一方、後輪側のモーターは、発進時や低速走行時に、エンジンを使わずに走行するために用いられる。同社は、「従来のツーリングカーに比べて燃費を50%以上向上できる」と説明している。

 ボッシュは、2010年に発売を予定しているドイツPorsche社の「Cayenn(カイエン)」とドイツVolkswagen社の「Touareg(トゥアレグ)」のハイブリッドモデル向けに採用されたハイブリッドシステムを紹介した。また、ハイブリッド車における、エンジン、モーター、回生ブレーキの働きをわかりやすく示すデモンストレーションも行った(写真4)。

 ヤマハ発動機は、開発中のハイブリッド2輪車「HV-X」のカットモデルを展示した(写真5)。駆動システムは、排気量250ccのエンジン、出力15kWのモーター、リチウムイオン電池から構成される。走行性能は、排気量400ccのガソリンエンジン2輪車と同等だという。

 ハイブリッド車市場で先行するトヨタ自動車と本田技研工業は、ハイブリッド車のラインアップ拡充をアピールするコンセプトカーを出展した。

 トヨタ自動車が展示したのが、レクサスブランドの小型ハイブリッド車「LF-Ch」である(写真6)。ハイブリッドシステムの詳細は明らかにされなかったが、ドイツBMW社の「BMW 1」やドイツAudi社の「Audi A3」などと同じカテゴリへの参入を意識して開発されたものだ。


写真7本田技研工業の「CR-Z」
写真7 本田技研工業の「CR-Z」 排気量1.5lのi-VTECエンジンを搭載する。モーター出力は未公表だが、「インサイト」の10kWを超える値になると見られる。
写真8本田技研工業の「SKYDECK」
写真8 本田技研工業の「SKYDECK」 薄型シートの素材には、厚さが約5mmで伸縮性を持つメッシュ生地を採用している。燃費はインサイトと同等になるという。

 本田技研工業は、同社の「インサイト」のハイブリッドシステム「IMA(Integrated Motor Assist)」を採用する2車種を展示した。2010年2月に発売を予定しているハイブリッドスポーツカー「CR-Z」(写真7)と、3列シートミニバンのコンセプトカー「SKYDECK」(写真8)である。

 特に、SKYDECKは、荷室を含めて広い車室空間を確保するために、2次電池やインバータなどのユニットをセンターコンソール内に収めた。また、事務椅子メーカーと共同開発した薄型シートにより、2列目シートを1列目シートの下に収納できるシステムを採用し、さらなる車室空間の有効利用を可能とした。


既存技術で燃費を向上

写真9マツダの「マツダ清」
写真9マツダの「マツダ清」 電動システムを用いることなく、10・15モードで32.0km/lという燃費を達成した。
写真10ダイハツ工業の「e:S」
写真10 ダイハツ工業の「e:S」 燃費は10・15モードで30.0km/l。3ドア/4人乗りで、全長は同社の「ミラ」より約300mm短い3100mm。
写真11燃料電池システム「PMfLFC」
写真11 燃料電池システム「PMfLFC」 水素を燃料とする燃料電池車は、電極の触媒に高価な白金を必要とするが、PMfLFCでは安価なコバルトやニッケルを用いることができる。

 マツダとダイハツ工業は、既存のエンジン車の技術をさらに進化させることで燃費向上を目指す姿勢を示した。

 マツダのコンセプトカー「マツダ 清(きよら)」(写真9)は、電動システムを用いずに32.0km/lの燃費(10・15モード)を達成した。燃費と出力を従来比で20%向上する次世代直噴ガソリンエンジン「SKY-G」、燃費を同5%向上する次世代AT「SKY-Drive」、アイドリングストップ機構「i-stop」を組み合わせることで実現した。同社は、2011年にSKY-G搭載車を国内で発売する計画である。

 ダイハツ工業は、燃費(10・15モード)が30.0km/lという軽自動車のコンセプトカー「e:S(イース)」(写真10)を展示した。車両重量を700kgまで軽量化するとともに、既存の軽自動車用ガソリンエンジンに燃焼制御システムとEGR(排気再循環)機能を組み合わせ、さらにアイドリングストップシステムも搭載している。ダイハツ工業は、2012年までにe:Sと同等の燃費の軽自動車を発売する方針だ。

 同社は、既存技術の改良を進める一方で、燃料電池システム「PMfLFC(Precious Metal-free Liquid-feed Fuel Cell)」を開発中である(写真11)。PMfLFCは、電極触媒としてコバルトやニッケルなどの安価な金属材料を用いることができる。燃料は、液体のヒドラジン1水和物(N2H4・H2O)なので、燃料タンクの形状の制約も少ない。「低価格かつ省サイズであることを求められる軽自動車に最適だ」(ダイハツ工業)という。

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