電動自動車が中核に、「LFA」の部品に存在感:第41回東京モーターショー(2/2 ページ)
『第41回東京モーターショー』が、2009年10月24日から11月4日まで幕張メッセで開催された。各社の展示の中核となったのは、ハイブリッド車、電気自動車、プラグインハイブリッド車など電動自動車のコンセプトカーとその関連技術である。ここでは、特集記事「本格化するEV/PHEV開発」で紹介した電気自動車とプラグインハイブリッド車以外の展示について紹介する。
LFAと搭載システム
トヨタ自動車は、レクサスブランドにおける最上位のスポーツカーとして「LEXUS LFA」のプロトタイプを出展した(写真12)。LFAは、2010年春に価格37万5000米ドルで発売される。販売台数は全世界で500台限定。ここでは、このLFAに採用された部品について、各サプライヤの展示を紹介する。
豊田自動織機は、炭素繊維強化樹脂(CFRP)を採用したLFAの車体構造部品を展示した(写真13)。CFRPを採用したのは、クラッシュボックス、ルーフサイドレール、一体フロアの3つ。クラッシュボックスは、炭素繊維を織る際に、縦糸と横糸だけでなく厚さ方向にも炭素繊維を織り込む「3D-CFRP」技術を採用している。通常のCFRPは、引っ張りには強いものの、せん断や折り曲げに弱いことが課題だったが、3D-CFRPでは厚さ方向のエネルギー吸収能力を1.5倍に高められる。
ヤマハ発動機は、音響機器メーカーのヤマハと共同で、LFAのサージタンクを開発した(写真14)。LFAでは、高級スポーツカーとして、ドライバーの運転操作に敏感に反応するエンジン音を作り出すことが求めれらていた。そこで両社は、エンジン吸気系の吸気量のムラをなくす部品であるサージタンクを音の放射体として再設計することにより、ドライバーにとって心地良い周波数の音が発生させられるようにした。ヤマハの空間共鳴シミュレーション技術などを活用している。
ほかにも、矢崎計器の8インチ液晶ディスプレイを用いたメーター(写真15)、アイシン精機のトランスミッション、小糸製作所のヘッド/リアランプなど、各社がLFAの部品を展示していた。
藻類からバイオ燃料
最後に、来場者の目を引いたサプライヤの技術展示について紹介する。
デンソーは、バイオ燃料を製造できる微細藻類についての研究成果を展示した(写真16)。この藻類約3kg(乾燥重量)から、約1kgのバイオディーゼル燃料を製造することが可能である。「100坪の土地にため池を作ってこの藻類を育成すれば、年間600lのバイオディーゼル燃料が得られる」(デンソー)という。
また、SiC(炭化シリコン)デバイスの最新の開発成果も紹介した(写真17)。微小な表面欠陥が1cm2当たり数百個までに抑えられる直径4インチのSiCウェーハを安定的に量産できるようになったという。
アイシン精機は、トヨタ自動車の3代目「プリウス」のシートに採用された薄型の体重検知センサーを展示した(写真18)。主に乗員検知システムの装備を義務化している北米市場向けとなっている。センサーの厚みは9.55mmで世界最薄とする。
スタンレー電気は、単眼でも撮影の対象物までの距離を測定可能なCMOSセンサーカメラ「ビジョンチップカメラ」を展示した(写真19)。2009年12月に評価キットを発売する予定である。
ミツバは、ブラシレスモーターとその制御技術のアピールを目的として、「アクションきゅーびっく」と名付けた技術展示を行った(写真20)。立方体形状のフレームに、モーターで動作させるフライホイールと各種センサーが組み込まれており、自律的に姿勢制御を行うことが可能である。
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