「SiC」と「GaN」のデバイス開発競争の行方は?(地域編):知財で学ぶエレクトロニクス(3)(4/5 ページ)
次世代パワー半導体材料であるSiCとGaN。省エネルギーや小型化の切り札とされており、実用化に期待がかかる。現在、開発競争において、どの地域が進んでおり、どの企業に優位性があるのだろうか。それを解き明かすには特許の出願状況を確認、分析することが役立つ。
GaNデバイスの特許出願
SiCに続いてGaNを利用した各種デバイスの特許出願状況を地域別に見てみましょう(図2)。
図2においても図1と似た傾向が現れました。すなわち、GaN FET分野の米国公開特許出願件数が日本公開特許出願件数よりも多いことです。米国企業がGaN FET技術開発に熱心であり、米国外の外国企業が米国市場を魅力的だと捉えていることが分かります。WO特許/PCT経由の特許出願件数が多いこともSiCと似ています。電子技術分野特許における、PCT経由出願件数の多いことが反映されているためと考えられます。
図2について、特許出願人(Applicant/Assignee)情報を簡単にご紹介します。
日本企業の外国出願(米国、欧州、ドイツ、WO/PCT経由)意欲は極めて高く、電子デバイスメーカーや自動車メーカー、つまり、住友電気工業、東芝、トヨタ自動車、日産自動車、パナソニック、古河電気工業、三菱電機、ロームなどの外国出願意欲の高いことが分かりました。図2から、日本企業が次世代半導体デバイスに、積極的に取り組んでいることが分かりましたが、とりわけ、GaN FETではデンソーが積極的な外国出願を行っているのが目立ちます。
外国企業ではCree、General Electric(GE)、Infineon Technologiesの積極的な外国特許出願が目立ち、International Rectifierやスイスの電力関連機器企業ABB、電源制御技術に取り組むO2Micro Internationalの外国出願も既にあります。電子デバイス分野で、各国企業の追い上げを図る韓国企業ですが、GaNデバイスへの本格的な取り組みは今後のことになるように見えます。
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