新型「ムーヴ」はJC08モード燃費が29.0km/lに、“止まる”プリクラッシュも:エコカー技術
ダイハツ工業は、軽トールワゴン「ムーヴ」の大幅改良に踏み切る。JC08モード燃費は、スズキの「ワゴンR」を上回る29.0km/lで、低速走行時の衝突回避が可能なプリクラッシュセーフティシステムも搭載する。
ダイハツ工業は、トールワゴンタイプの軽自動車「ムーヴ」の改良モデルを2012年12月20日に発売する。JC08モード燃費を、現行モデルの27.0km/l(リットル)から29.0km/lまで向上するとともに、時速30km以下であれば事故回避が可能な“止まる”プリクラッシュセーフティシステムなど安全システムも充実させる。
ムーヴは2010年12月のフルモデルチェンジの後に、2011年11月にマイナーチェンジしている。しかし、競合車種であるスズキの「ワゴンR」が2012年9月にフルモデルチェンジし(関連記事1)、ホンダが2012年11月に「N-ONE」を新たに投入(関連記事2)したことを受けて、大幅な改良が必要になると判断した。
2011年11月のマイナーチェンジでは、JC08モード燃費で30.0km/lを達成している軽自動車「ミラ イース」に採用した「e:S(イース)テクノロジー」の採用で、10・15モード燃費を27.0km/lから30.0km/lに引き上げていた(マイナーチェンジ後のみ公開されたJC08モード燃費は27.0km/lとなっている)。
今回の改良では、イーステクノロジーをサーモ(熱)マネジメント技術を追求することでさらに進化させ、JC08モード燃費を29.0km/lまで高める。この値は、リチウムイオン電池と高出力オルタネータを用いるブレーキ回生システム「ENE-CHARGE(エネチャージ)」などを搭載するワゴンRのJC08モード燃費28.8km/lをわずかながら上回る。
さらに、ターボ搭載車である「ムーヴ カスタム」の「カスタムRS」グレードでしか選択できなかったプリクラッシュセーフティシステムを全モデルに用意する。カスタムRSグレードで「インテリジェントドラインビングアシストパック」を選択すると、レーザーレーダーと単眼カメラの組み合わせによるプリクラッシュセーフティシステムやクルーズコントロール、車線逸脱警報の他に、横滑り防止装置も追加されたが、31万5000円と高価だった。
今回の改良では、レーザーレーダーだけを使って低速走行時の衝突回避が可能なプリクラッシュセーフティシステムに機能を絞り込み、安価に販売するとみられる。プリクラッシュセーフティシステムとセットで横滑り防止装置も提供される。
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