屋内に置くなら静かな蓄電池がうれしい、太陽光との組み合わせも訴求:スマートグリッド
停電や災害に備えた安価な家庭用の蓄電ソリューションはないのだろうか。使わないときはそこにあることを忘れるような製品、いざとなれば100V交流だけでなく、太陽電池と接続して充電できるものが欲しい。シャープはこのようなニーズに応えた大容量蓄電池を開発した。
家庭で利用する大容量蓄電池は、長い期間にわたって利用する製品だ。従って、容量が大きいことはもちろんながら、場所を取らず、置き場所が自由になり、静かなものが望まれている。
シャープは2012年11月26日、静音性を訴求した容量1kWhの蓄電池「DU2P1B519Z」を発表した(図1)。自然空冷が可能になるよう、筐体と基板、蓄電池モジュールの最適配置を工夫した。これにより、冷却ファンが必要ない構造を開発できた。同社によれば、容量1kWhで冷却ファンが不要な製品は業界初だという。
DU2P1B519Zの位置付けは、最終製品ではない。主に太陽光発電システムと組み合わせたソリューションを提供する企業へ販売するとした。そのため、家庭用の交流100V電源(充電時間:10時間)以外に、太陽電池モジュールからの入力(充電時間14時間)が可能な設計とした*1)。
2012年12月25日から量産を開始する。サンプル価格は43万円。
*1) 出力192.5W以下(開放電圧40V以下、短絡電流8.14A以下)の太陽電池モジュールからの充電に対応する。シャープ以外の太陽電池モジュールでも利用可能だ。14時間という充電時間は出力170Wの太陽電池モジュールを利用した場合の値。
図1 シャープの大容量蓄電池「DU2P1B519Z」 家庭用の100V交流の他、太陽電池からも充電できる。寸法は465×300×439mm、重量は約21kg。外観はシャープが設計したものであり、他社から販売される場合は異なる場合がある。出典:シャープ
USB出力端子を備える
今回のDU2P1B519Zは、入出力に特徴がある。入力側と同様、出力側も2系統である。家庭用100V交流コンセントを3つ備えるほか、USB(5V)プラグを2つ備える。携帯電話機やスマートフォン、タブレット端末などの充電が可能だ。
蓄電部分にはリチウムイオン二次電池を用いた。家庭用ということを加味して、正極材料には寿命が長く、安定性が高いリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を用いた。
出力は最大400W(定格300W)、充放電サイクル寿命は2000サイクル(放電深度が100%のとき)である。
なお、同社は2012年1月に、バックアップ電源用システムモジュール「DU2P1B474Z」を発表している(関連記事:「シャープがバックアップ電源キットを開発、太陽光でも充電が可能」)。1月のモジュールも冷却ファンが不要な蓄電池を訴求していたが、完成品というよりも部品としての取り組みである。
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