シャープがバックアップ電源キットを開発、太陽光でも充電が可能:スマートグリッド
バックアップ電源製品が強く望まれている中、さまざまな制御や入出力に対応した電源をメーカーが容易に製品化できるようにするシステムモジュールをシャープが開発した。
シャープは2012年1月27日、リチウムイオン二次電池や制御ユニットなどからなるバックアップ電源用システムモジュール「DU2P1B474Z」を開発したと発表した(図1)。2月10日からサンプル出荷を開始し、3月20日には量産出荷を始める。サンプル価格は30万円。
東日本大震災を受け、家庭や企業では防災意識が高まっている。こうした中、安価で使いやすいバックアップ電源がユーザーに強く望まれている。しかし、リチウムイオン二次電池は制御が適切でないと、十分能力を引き出すことができない。場合によっては寿命や性能が低下してしまう。
図1 シャープのバックアップ電源用システムモジュール 容量500Whのリチウムイオン二次電池(左上)とインタフェースユニット(左下)、制御ユニット(右)の3点からなる。交流100Vの出力端子2個と、USB(5V)の出力端子2個を備える。出典:シャープ
そこで、セットメーカーが短期間に高性能なバックアップ電源を製品化できるよう、必要な部品を組み合わせたのが、今回のシャープの取り組みだ。容量500Whのリチウムイオン二次電池の他、制御ユニットやインタフェースユニットが含まれており、適切なケースやボタンなどのユーザーインタフェース部を取り付けるだけで製品化が可能だ。
制御ユニットの特長は2つある。まず、家庭用コンセントから直接充電できる他、太陽電池モジュール*1)からの充電にも対応したことだ。次に電源モジュールは一般に発熱量が多く、製品化に当たってファン音を抑える取り組みが必要だ。シャープのモジュールではインバータ技術や高放熱技術を用いているため、ファンレス仕様のバックアップ電源を容易に設計できるという。
*1) 出力180W以上で、開放電圧40V以下、短絡電流8.37A以下の太陽電池モジュールが利用できる。
インタフェースユニットの特長は、USB出力端子を備えていること。携帯電話機やスマートフォン、タブレット端末などの充電が可能だ。リチウムイオン二次電池の正極材料には、長寿命で安定性が高いLiFePO4(リン酸鉄リチウム)を用いた。容量よりも信頼性の高さを訴求する。
モジュール全体の仕様は以下の通り。充電時間は家庭用コンセントから直接充電したとき、約6時間。出力180Wの太陽電池モジュールを接続したときに約4時間である。出力は最大400W(定格300W)、充放電サイクル寿命は2000サイクル(放電深度が100%のとき)である。
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