板金のベテラン設計者になれる6つのステップとは:甚さんの「バンバン板金設計でキャリアアップ」(6)(1/3 ページ)
過去記事と今回の記事を読めば、ベテランの板金設計力の80%がカバーできる! それでは、100%カバーするためには、どんな知識が必要なの?
当連載の登場人物
根川 甚八(ねがわ じんぱち)
根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん
国木田良太(くにきだ りょうた)
ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。80年代生まれのイマドキな若者。機構設計者。通称、良君
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
前回(第5回)はよぉ、日本と隣国の技術者とを比較して、企業や技術者の意識の差について説明したけど、ちょいと暗くなっちまっただろぉ?
そんなことないですよ、甚さん! 真実や実力をしっかり見極めないと、リベンジできません。アスリートだってそうでしょう!
そうだよなぁ……。フィギュアスケートの高橋大輔選手や浅田真央選手も、何度もスランプからはい上がっているもんなぁ。しかも、それが早いときたもんだ! しかし、オメェに教わる日がくるとは思わなかったぜぃ。
それでは、前回の最低限のキーセンテンスだけ拾いましょう。それなら暗くなり過ぎることはないと思いますよ。
キーセンテンス1
隣国企業でのコンサルテーションは土曜日、セミナーは日曜日というパターンがほとんどです。セミナーは、朝の9時から始まり、夕方の17時で終わります。
キーセンテンス2
なぁるほど! 競合機分析をやらないのではなく、「できない」まで落ちたか? あん? その主犯格が、オメェの会社の部課長……!? それは真実か?
キーセンテンス3
現在、衰退している日本企業に共通しているキーワードは、「C(コスト、低コスト化)」です。円高とは無関係です。円高でなくても、衰退しているはずです。
キーセンテンス4
図2に示した「軟鉄の応力−ひずみ線図」は、「学問」と決め付けてはいけません。技術の職人なら知っているべき「常識」です。これを知らないということを料理人に例えれば、「米が炊けない」に相当します。炊飯は、米の特性を知り尽くし、微妙に火加減を調整する必要があります。「それなら、電気炊飯器を使えばよい」という人は、料理の実力はそこで頭打ち。電気炊飯器自身では、米の産地や銘柄は選択できません。
オレサマはよぉ、「キーセンテンス4」が気にいっちまったぜぃ。
僕も同感です。日本人技術者なら響きますね。「軟鉄の応力−ひずみ線図」は、学校でもこのように教えてほしかったですよ。
そんじゃ今回はよぉ、「バンバン板金設計」にふさわしい、学校では決して教わらない、板金職人直伝の即戦力としようじゃねぇかい。
甚さん、よろしくお願いします。一生懸命に勉強して、あんな課長がいる会社を辞めてやるぅーっ!
それでは、教科書にはない、「板金設計の即戦力になるためのフロー」を以下に示します。
バンバン板金設計の即戦力になるフロー
3.板金設計の基本であるL型板金を上記1、2で設計できる
今回の記事で解説します。
これで、ベテラン設計者の70%まで追い付けます。
4.板金設計の応用である板金箱を上記1〜3で設計できる
今回の記事で解説します。
これで、ベテラン設計者の80%まで追い付けます。
5.板金設計の“調味料”を使用できること
本連載の次回以降で解説します。
これで、ベテラン設計者の90%まで追い付けます。
6.板金箱の変形例を上記1〜5で設計できること
本連載の次回以降で解説します。
これで、ベテラン設計者の100%です!
材料選択を除く、板金の形状設計だけなら、上に示した6ステップだけで10年、15年先輩のベテラン設計者のレベルに追い付けるでしょう。
板金加工は非常に難しく、恐らく、日本が世界一の加工技術を保有していると思います。しかし、板金設計に困難は皆無です。機械設計に巨匠は存在しません。機械設計でウンチクを唱える「機械設計オタク」が存在しますが、街の飲食店の料理人や大工さんの方がよっぽど「匠のワザ」の持ち主だと筆者は思います。
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