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増資についてノーコメントのルネサス、「事業継続可能な運転資金は確保」ビジネスニュース 企業動向(1/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクスは、東京都内で会見を開き、2012年度(2013年3月期)第2四半期の決算内容や、財務基盤強化の状況について説明した。産業革新機構やKKRによる増資に関する報道への質問については、ノーコメントを貫いた。

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ルネサスの佐川雅彦氏

 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2012年10月29日、東京都内で会見を開き、2012年度(2013年3月期)第2四半期の決算内容や、財務基盤強化の状況について説明した。官民ファンドの産業革新機構や米国の投資ファンドKKR(Kohlberg Kravis Roberts)による増資に関する報道への質問については、「当社から発表したものではないので回答できない」(ルネサス執行役員の佐川雅彦氏)とノーコメントを貫いた。

事業継続は可能

 ルネサスは、8月2日に発表した収益基盤強化策に従って、親会社3社と主力取引銀行4行による約970億円の新規資金投入と、1611億円の短期借入金の長期借り換えを行っている(関連記事1)。新規資金は、事業構造改革に充当して、事業構造改革によってプラスの営業キャッシュフローを創出したい考えだ。2012年9月末時点で、2012年3月末比で約47%減の約700億円まで減少している手元資金(現金および現金同等物)は現状を維持しながら、営業キャッシュフローの改善によって財務基盤を改善する計画である。

経営資金の現状と固定費削減の方針
経営資金の現状と固定費削減の方針(クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 自己資本(株主資本)は2012年3月末比で47%減の1283億円まで減少している。産業革新機構やKKRから、1000億円以上の増資が必要になると報道されているのはこのためだ。佐川氏は、「自己資本は、構造改革によって生み出す営業利益で積み増すのが基本。その他の手法も検討しているが、詳細はコメントできない。新規資金の確保と短期借入金の長期借り換えで、事業継続可能な運転資金は確保しているので、構造改革を着実に進めて利益を創出することが最も重要だ」と説明する。

アミューズメント向けSoCの大型カスタム案件が貢献

 2012年度第2四半期の半導体売上高は前年同期比5.9%減の2053億円。2012年度第1四半期と比べると、情報システム統合の影響による一時的な売上高減少が解消されたのに加え、アミューズメント向けSoC(System on Chip)の大型カスタム案件(関連記事2)がけん引して22%の増加となっている。

ルネサスの四半期業績の推移
ルネサスの四半期業績の推移(クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 営業損益は、前年同期比44億円改善の57億円の損失、経常損益が同62億円改善の68億円の損失、純損益が同855億円悪化の943億円の損失となった。純損益の943億円の損失には、早期退職制度実施に伴う特別損失約840億円が含まれている。

 半導体売上高を事業別で見ると、マイコンが前年同期比約7.5%減の809億円、アナログ&パワー半導体が同1.3%増の681億円、SoCが同13%減の550億円。2012年度第1四半期と比べると、マイコンは7%増、アナログ&パワー半導体は24%増、SoCは60%増となった。

 2012年度第2四半期の半導体売上高の事業別内訳
2012年度第2四半期の半導体売上高の事業別内訳(クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 マイコンの増加分は、情報システム統合の影響で減少した汎用マイコンの売上高が回復しただけだとみられる。一方、アナログ&パワー半導体では、アナログIC/ディスクリートが2012年度第1四半期比で25%強、パワー半導体が同約15%、スマートフォンなどに用いられる中小型ディスプレイ用が好調だった表示ドライバICが同約40%伸びたおかげで、唯一の前年同期比プラスを達成した。SoCは、先述したアミューズメント向けSoCの大型カスタム案件により、民生向けSoCが2012年度第1四半期比で約180%増加した。SoC全体では同206億円増加しているが、そのほとんどはアミューズメント向けSoCの大型カスタム案件によるものと考えられる。

半導体売上高の事業別の状況
半導体売上高の事業別の状況(クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス
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