リネオと日立超LSIが高速起動デュアルOSをデモ、バックモニター起動時間は1秒:車載ソフトウェア
リネオソリューションズと日立超LSIシステムズは、ルネサス エレクトロニクスのユーザーイベント「R-Car Consortium Forum 2012」において、組み込みLinuxとT-Kernelを用いて、高速起動や2つのOSの協調動作に関するデモンストレーションを行った。
リネオソリューションズと日立超LSIシステムズは、ルネサス エレクトロニクスの車載プロセッサ「R-Car」のユーザーイベント「R-Car Consortium Forum 2012」(2012年10月23日)において、組み込みLinuxとT-Kernelによる高速起動と2つのOSの協調動作に関するデモンストレーションを行った。
デモは、800MHz動作の「Cortex-A9」コア1個と600MHz動作の「SH-4A」コア1個を搭載する、ルネサスのプロセッサ「R-Mobile A1」の評価ボード「Armadiillo-800 EVA」に実装して行った。Cortex-A9上で組み込みLinux(プラットフォームはAndroid)を、SH-4A上でT-Kernelを動作させるとともに、両OSの動作を日立超LSIシステムズの「リアルタイム・オーガナイザ」によって協調させている。
リアルタイム・オーガナイザは、プロセッサコアの間で必要な通信や排他などの仕組みを提供するミドルウェアである。デバイスドライバについても、必要なもののみを共有しながら、それら以外は各OSで独立して制御できる。例えば、組み込みLinux側で不具合があっても、OS状態監視機能により、T-Kernelが組み込みLinuxを再起動させることによって機能回復を図れる。デュアルOSを実現する上で、特別な仮想化のレイヤを設けなくて済むので、実行上のオーバーヘッドを最小限に抑えられるのが特徴である。
デモでは、動作が軽量なリアルタイムOSであるT-Kernelの特徴を生かして、T-Kernelに実装してあるカメラで撮影した映像を表示するアプリケーションを、1秒以内で起動できることを示した。「自動車業界からは、エンジン始動とのタイムラグなしにカーナビゲーションシステムなどのバックモニター機能を起動したいという要求がある。T-Kernelとリアルタイム・オーガナイザを使えば、そういった高速起動の要求に対応できる」(展示の説明員)という。
一方、組み込みLinuxにも、リネオソリューションズの高速起動ソリューション「Warp!!」が搭載されている。Warp!!の機能により、通常は11秒かかる起動時間を、4.2秒まで短縮できている。同説明員は、「組み込みLinux側の起動時間を短縮したいという要求も強い。Warp!!であれば、そういった要求に対応できる」と述べている。
関連キーワード
組み込みLinux | T-Kernel | カーナビゲーションシステム | カメラ | 車載 | ルネサス エレクトロニクス | 車載ソフトウェア | ミドルウェア | リアルタイムOS | RTOS
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 進化の分岐点を迎えるカーナビ
カーナビが進化の分岐点を迎えている。2006年以降、PNDがナビゲーション機器市場の急拡大をけん引し、携帯電話機のナビゲーション機能も大幅に性能が向上した。こうした動きを受けて、組み込み型カーナビにも変化が求められている。本稿では、まずカーナビ開発の歴史と現在の市場の状況をまとめる。その上で、次世代カーナビ用の最新プロセッサ/リアルタイムOSの動向を紹介する。 - スマホとつながる車載ディスプレイの開発が容易に、専用ミドルウェアが発売
図研エルミックは、スマートフォンと車載ディスプレイを接続する通信規格MirroLinkに対応するミドルウェア「Ze-PRO Mirror(Client)」の販売を開始した。同ミドルウェアを使えば、車載ディスプレイ上で、接続したスマートフォンのアプリケーションをそのまま操作できるような機器を短期間で開発できる。 - 上海汽車がHEVの独自開発にモデルベース設計を採用、開発期間を25%短縮
ハイブリッド車(HEV)を開発する上で、最も時間を取られるのが、ハイブリッドシステム用ECUの開発である。上海汽車は、HEV「Roewe 750 Hybrid」を独自開発する際にモデルベース設計を採用して、ハイブリッドシステム用ECUの開発期間を当初予定の24カ月から18カ月に短縮した。