上海汽車がHEVの独自開発にモデルベース設計を採用、開発期間を25%短縮:車載ソフトウェア
ハイブリッド車(HEV)を開発する上で、最も時間を取られるのが、ハイブリッドシステム用ECUの開発である。上海汽車は、HEV「Roewe 750 Hybrid」を独自開発する際にモデルベース設計を採用して、ハイブリッドシステム用ECUの開発期間を当初予定の24カ月から18カ月に短縮した。
ハイブリッド車(HEV)は、ガソリンエンジン車にモーターやインバータ、電池を搭載すれば開発できるというものではない。速度やエンジン回転数、トランスミッションの状態に合わせたモーターによる最適な走行アシストを行ったり、ブレーキ時にモーターを使ってエネルギー回生したりと、ハイブリッドシステム用ECU(電子制御ユニット)に組み込んだソフトウェアによる細やかな制御が必要になる。HEVのパワートレイン開発で最も時間を取られるのが、ハイブリッドシステム用ECUとその組み込みソフトウェアの開発だと言われている。
大手中国自動車メーカーの上海汽車(SAIC Motor)は、ハイブリッド車「Roewe(栄威) 750 Hybrid」を独自開発する際に、モデルベース設計を採用することで開発期間を当初予定の24カ月から18カ月に短縮したという。モデルベース設計用ツールを提供したThe MathWorksが2012年7月25日(米国時間)に発表した。
Roewe 750 Hybridは、2006年に発売した排気量1.8l(リットル)のガソリンエンジンを搭載するセダン「Roewe 750」をベースに、上海汽車が独自に開発したハイブリッドシステムを搭載した車両である。2011年11月から中国国内で販売されている。モーターによる走行アシストの割合が比較的小さいマイルハイブリッド車で、ハイブリッドシステムの搭載によりRoewe 750と比べて燃費が20%向上しているという。100km走行するのに必要なガソリンの量は7.5lで、燃費に換算すると約13.3km/lとなる。
ソフトウェアの98%を自動生成
上海汽車は、Roewe 750 Hybridのハイブリッドシステム用ECUの組み込みソフトウェア開発において、MathWorksの「MATLAB」や「Simulink」、「Stateflow」などのツールを用いたモデルベース設計を採用した。
モデルベース設計の採用により、シミュレーションを用いてパワートレインのシステム構成を評価できるようになり、最適な制御アルゴリズムの開発にもつながったという。ハイブリッドシステム用ECUの組み込みソフトウェアのコーディングには、「Embedded Coder」による自動生成を活用した。全体の98%のコーディングに自動生成を利用し、手書きコーディングによるエラーを最小限に留めた。
上海汽車は、Roewe 750 Hybridのハイブリッドシステム用ECUの開発で得たモデルベース設計のノウハウを、「Roewe 550」ベースのプラグインハイブリッド車や電気自動車「E50」の開発にも活用する方針である。
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