いまさら聞けない SDメモリーカード入門:メモリーカード 技術解説(2/3 ページ)
あなたはどれくらい「SDメモリーカード」のことを知っているだろうか? SD規格やSDホストコントローラの仕組みについて、人に正しく説明することができるだろうか? 携帯電話やスマートフォン、デジタルカメラに代表される身近な機器に必ずといってよいほど使われているSDメモリーカードの基礎を解説する。
SDメモリーカードとSDホストコントローラ
ここまでは、主にSDメモリーカード自身の説明でしたが、ここからは仕組みについて掘り下げていきます。
SDメモリーカードを使用するには、それを制御するためのSDホストコントローラが必要となります。では、SDホストコントローラは一体何をするものなのでしょうか。
SDスロット搭載機器には、基板上に制御用のCPUが搭載されています。このCPUが制御プログラムに応じて、SDホストコントローラにどのような動作を行わせるか指示を出します。SDホストコントローラはその指示に合わせ、SDメモリーカードに制御信号やデータを送信します(図1)。
つまり、SDホストコントローラは、CPUとSDメモリーカードの間でデータや制御信号をやりとりするための橋渡し役を担っています。
図2に、実際のSDホストコントローラの動作状態を示します。
前述の通り、SDメモリーカードには各種規格に対応した製品バリエーションが存在します。これと同様に、SDホストコントローラも規格の対応状況に違いがあります。最新の規格全てに対応したもの、一部の規格のみに対応したものなど、さまざまなコントローラが存在します。
では、もしも古いSDスロット搭載機器に最新仕様のSDメモリーカードを挿入したらどうなるでしょうか? 以降で詳しく紹介したいと思います。
まず、記憶容量の面から見てみましょう(図3)。
記憶容量(SD/SDHC/SDXC)の面では、SDメモリーカードを装置の対応規格に合わせて再フォーマットすれば使えるようにはなります。しかし、図3の例では64Gバイト以上の容量を持つSDXCカードにもかかわらず、2Gバイトまでしか使えなくなってしまいます。
続いて、転送速度(Default Speed/High Speed/UHS-I)の面ではどうでしょうか(図4)。
記憶容量はどちらのホストコントローラもSDXCに対応しているので、カードの記憶容量を全て使うことができます。しかし、図4(上)のように、High Speedまでしか対応していないホストコントローラの場合、転送速度は最大でも25Mバイト/秒にしかなりません。
SDホストコントローラは、SD規格に対して上位互換性がありますから、最新の規格に対応したSDホストコントローラ搭載機器であれば全てのSDメモリーカードの実力(データ転送速度量や記憶容量)を最大限に発揮することができます(一部例外あり)。つまり、仮に、古い規格のSDメモリーカードを挿入した場合でも、そのSDメモリーカードを有効に使えるということです。
最新のSDメモリーカードを使っても、装置側が古い規格にしか対応していない場合、SDメモリーカードの実力を十分に発揮できません。使用する際は、SDメモリーカード、ホストコントローラ対応規格をきちんと把握しておきましょう。
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