自己診断可能な電源ICで車載マイコンを監視、ASIL-Dの達成が容易に:ISO26262
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは、「Freescale Technology Forum Japan 2012」において、ISO 26262で最も高い安全レベルを示すASIL-Dの達成を容易にする、車載マイコンと電源ICの組み合わせソリューションを展示した。
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン(以下、フリースケール)は、東京都内で開催中のユーザー向けイベント「Freescale Technology Forum(FTF) Japan 2012」(2012年10月22〜23日)において、自動車向け機能安全規格であるISO 26262で最も高い安全レベルを示すASIL-Dの達成を容易にする、車載マイコンと電源ICの組み合わせソリューションを展示した。
展示に使用した車載マイコンは、第三者認証機関のexidaからISO 26262に準拠可能であるという認定を受けた「MPC5643L」である。プロセッサコア「PowerPC e200 Z4」を2個搭載し、互いの動作を常時監視するデュアルロックステップ機構(関連記事)によって、ISO 26262への準拠を可能にしている。
車載マイコン「MPC5643L」と電源IC「MC33908」の組み合わせでASIL-D対応システムの開発が容易になる。展示では、電動ステアリングシステムのミニチュアモデルを、MPC5643LとMC33908を用いたECUで動作させるデモンストレーションを行った。動作に異常が起これば、左側のノートPCに表示される。(クリックで拡大)
一方、電源ICは、現在サンプル出荷中の「MC33908」を使用している。MC33908は、自己診断機能の他、MPC5643Lの動作を監視する機能も備えている。もし、MPC5643Lの動作に問題が発生すれば、MC33908からの電力の供給を遮断して、停止させることができる。
フリースケールの説明員は、「ASIL-Dという安全性レベルは、車載システムやECU(電子制御ユニット)の単位で、極めて低い故障率や、その低い確率で起こった故障を確実に検知する機能が要求される。MPC5643LはASIL-Dの達成が可能な車載マイコンだが、実際にASIL-Dを達成するには、車載システムやECUの回路構成の工夫や、他に使用するICや電子部品の故障率などへの要求は厳しい。しかし、MPC5643LとMC33908を組み合わせて使えば、車載マイコンと電源ICの故障率が低減され、故障を検知する機能も高まるので、その分だけ回路構成の工夫や他のIC・電子部品に対する厳しい要求が緩和される。つまり、ASIL-D対応システムの開発が容易になるわけだ」と述べている。
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