ロボットカー開発は難しい――第1回「フリースケール・カップ」予選から:7チームが世界挑戦を賭けて決勝へ(2/2 ページ)
大学生と高等専門学校(高専)生を対象にしたロボットカー競技会「The Freescale Cup(フリースケール・カップ)日本大会」の予選が、東海大学高輪キャンパスで開催された。15チームが参加した同大会の結果から、自律走行するロボットカーの開発の難しさが垣間見えた。
完走率は半分以下という厳しい結果に
フリースケール・カップでは、ロボットカーが競技コースを1周するのにかかる走行タイムを競う。2回走行して、より早くゴールした方の走行タイムがそのチームの記録になる。ロボットカーがゴールラインを過ぎて3m以内に停止できなければ1秒、全く停止できない場合には2秒のペナルティが与えられる。なお、競技コースからコースアウトしたり、周回途中で停車したりすると、走行タイムは記録されず、リタイア扱いになる。
以下の写真は、大会の様子を撮影したものである。
レースの結果、予選1位には東京大学が入った。1回目の走行は20秒18でトップに立ち、2回目の走行も17秒59と記録を更新。ロボットカーのスピードでは他チームを圧倒していた。2位は千葉工業大学。1回目の走行で21秒15の3位につけ、2回目の走行ではゴールラインから3m以内に停車してペナルティなしの18秒25を記録した。先に走行した東京大学との差が1秒以内と僅差だったこともあり、この日一番の盛り上がりとなった。3位は、1回目の走行で東京大学に次ぐ20秒64の記録を残した大阪大学である。2回目の走行は、かなりのスピードで走行できていたものの、完走を果たせず記録なしに終わったのが悔やまれる。
予選1位に入った東京大学のメンバーとロボットカー。左から篠塚史称さん、Kounakis Ioannisさん、Syafril Bandaraさん。ロボットカーの開発では、「直線コースを高速で走行できるように、レギュレーションで許される限界まで前の方にカメラを設置して、コースの形状を“先読み”できるようにした」という。今回の予選ではうまく動作しなかったゴールで停止する機能を決勝レースまでに修正して、優勝を狙う。3人とも、指導教授の坂村健氏から「必ず勝ってこい!」と発破をかけられていたこともあってか、予選1位という結果に安堵していた。(クリックで拡大)
以下、4位が函館高専、5位が大阪電通大学、6位が立命館大学、7位が名古屋工業大学だった。残りの8チームは完走することができず、記録なしとなっている。
日本における正式な大会は今回の予選が初めてということもあってか、完走できたチームは全体の半分以下にとどまった。1回目の走行では7チーム、2回目の走行に至っては4チームしか完走できなかった。フリースケールの大会運営スタッフによれば、「7月に開催した練習走行会と比べると、各チームともはるかにレベルアップしていた。実際に、練習コースでは、しっかりと走行できているチームが多かった。しかし、競技コースを完走できるところまで仕上げるのはなかなか難しかったようだ」という。
10月22日の決勝レースには、上位5チームではなく、完走を果たした7チームが参加することになった。これらの7チームは、予選から約3週間でどこまでレベルアップできるのだろうか。優勝してチャンピオン大会に進むのはどのチームになるのか。MONOistオートモーティブフォーラムでは、決勝レースの様子も紹介する予定だ。
ロボット/ロボット開発 コーナー
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