ロボットカー開発は難しい――第1回「フリースケール・カップ」予選から:7チームが世界挑戦を賭けて決勝へ(1/2 ページ)
大学生と高等専門学校(高専)生を対象にしたロボットカー競技会「The Freescale Cup(フリースケール・カップ)日本大会」の予選が、東海大学高輪キャンパスで開催された。15チームが参加した同大会の結果から、自律走行するロボットカーの開発の難しさが垣間見えた。
国内で開催されているロボットカー競技会といえば、「ジャパンマイコンカーラリー」や「ETロボコン」が知られている。高校生を対象とするジャパンマイコンカーラリーは1996年から、高校生から社会人まで幅広い参加者が特徴のETロボコンは2002年から開催されており、それぞれ全国から数百チームが参加するなど開催規模はかなり大きくなっている。
2012年からは、大学生と高等専門学校(高専)生を対象にした、新たなロボットカー競技会が始まった。フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン(以下、フリースケール)が主催する「The Freescale Cup(フリースケール・カップ)日本大会」(大会Webサイト)である。2012年9月29日、同大会の予選が東海大学高輪キャンパスで開催されたので、その模様をリポートしよう。
優勝チームは2013年のチャンピオン大会に参戦!
フリースケール・カップは、2003年に韓国で初開催されて以降、米国、中国、インド、ドイツ、フランス、ルーマニア、チェコ、メキシコ、ブラジル、マレーシアなどで開かれている。現在は、約500校の大学から約1万5000人の大学生が参加しており、米国で例年6月に開催される「Freescale Technology Forum Americas」では、各国の優勝チームが参加するチャンピオン大会も行われている。
今回が初開催となるフリースケール・カップ日本大会には、日本全国の大学と高専13校から15チームが参加。予選を勝ち抜いた5チームが、10月22日に東京都内で開催される「Freescale Technology Forum Japan」の決勝大会に進む。そして、決勝大会の優勝チームは、2013年のチャンピオン大会に参加する権利が得られる。
参加チームには、フリースケールのボディ系システム制御用の32ビットマイコン「MPC5604B」やアナログICを用いた制御ボードとソフトウェア開発ツール、実車の18分の1スケールのシャシー、競技コースの車線を認識するためのカメラモジュール、モーター、2次電池などから構成される標準キットが提供される。この標準キットと公認のオプションを用いて、競技コースの車線を認識しながら自律走行するロボットカーを開発し、走行タイムを競うのだ。
組み込みソフトウェアがカギに
フリースケール・カップの競技コースは、中央に黒色の車線が引かれているさまざまなタイルを組み合わせて作られる。競技コースのタイルは、直線やカーブ、交差路以外にも、表面がでこぼこで安定走行が難しいものや斜度が15度以内の傾斜路、トンネルなどが用意されており、全て仕様が決まっている。ただし、競技コースのレイアウトは、大会当日まで参加チームに知らされない。つまり、参加チームは、どんなタイルを使ったコースでも、速く走行できるようなロボットカーを開発する必要があるのだ。
ロボットカーの開発で重要になるのは、カメラモジュールによる車線認識、さまざまなセンサー(カメラを含めて16個まで使用可能)を使った車両状態の検知、そして自律走行の制御などを行うための組み込みソフトウェアである。
そこで今大会には、大学や高専で組み込みソフトウェアの開発を学ぶ学生たちが参加した。第1回大会の参加チームは以下の通り。大阪大学、立命館大学、奈良高専「noobs」、東海大学「ライトスパイラル」、東京工業大学、防衛大学校、長野高専、鶴岡高専、奈良高専「初岡南」、東京大学、函館高専、名古屋工業大学、大阪電通大学、東海大学「レフトスパイラル」(出走順)。
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