「フィットEV」が国内リース販売を開始、価格は6年契約で1カ月5万5500円:米国は3年契約で1カ月3万円(2/2 ページ)
ホンダは、小型車「フィット」をベースに開発した電気自動車(EV)「フィットEV」の国内リース販売を開始した。自治体や企業向けが中心で、リース契約は6年間、1カ月当たりのリース価格は約5万5500円である。
電動サーボブレーキで回生量を8%向上
フィットEVが世界最高の電費を達成する上で、新開発の電動サーボブレーキシステムの貢献も無視できないものがある。この電動サーボブレーキシステムは、ブレーキペダルを押し込んだときの感覚をドライバーに感じさせるペダル操作部と、油圧ブレーキを働かせるブレーキ動作部から構成される。ペダル操作部とは独立して動作するブレーキ動作部は、ブラシレスモーターと減速ギア、ボールねじにより、高精度な液圧制御と素早い応答が可能である。
この構成により、ブレーキエネルギーを電力に変換できない油圧ブレーキの動作範囲をできる限り減らすことに成功した。具体的には、ブレーキ動作時にモーターで発電する電力の量は、一般的な油圧ブースター式の回生ブレーキと比べて約8%向上している。さらに、回生ブレーキと油圧ブレーキの配分が変化する場合でも、ドライバーに違和感を感じさせない自然なブレーキフィールも実現できているという。
内装と冷媒にエコ材料を採用
シートやドアライニングの表皮には、サトウキビ由来の原料を全体の30%使用するバイオPETを採用した。このバイオPETの原料は、サトウキビから砂糖を取り出した後の残渣(搾りかす)から製造しているので、食糧品と競合しない。価格は、石油由来の原料を使用するPETの1.3倍になるものの、PETボトルなどからリサイクルした原料を使うリサイクルPETが同2.5倍になるのと比べて安価である。さらに、リサイクルPETよりもデザイン自由度が高く、質感も良好である。
この他、エアコンの冷媒として日本で初めてHFO(ハイドロフルオロオレフィン)-1234yfを採用した。HFO-1234yfは、現在一般的に利用されているHFC(ハイドロフルオロカーボン)-134aよりも、地球温暖化係数を350分の1以下に低減している。ホンダは、フィットEV以降のエコカーにも、HFO-1234yfを順次採用していく予定だ。
カーナビ以外にリモコンと専用スマホアプリも
フィットEVは、詳細な渋滞情報などが特徴の「インターナビプレミアムクラブ」を利用できる、通信タイプのカーナビゲーションシステムを標準で装備する。充電スタンドの位置情報や、走行可能な距離の範囲表示などのEV専用機能も備えている。
カーナビに加えて、「EV双方向リモコン」と、フィットEV専用のスマートフォンアプリも用意している。EV双方向リモコンを使えば、例えば「宅内からガレージ」といった近距離(80m以内)で、フィットEVを遠隔操作できる。電池の残容量や車内温度などの確認、充電やエアコンのオンオフなどか可能だ。
一方、専用のスマートフォンアプリを使えば、EV双方向リモコンの通信可能領域から外れていても、カーナビの通信機能を介することによりフィットEVを遠隔操作できる。EV双方向リモコンと同様の機能に加えて、走行可能な距離の範囲表示や、充電ケーブルの接続状態の確認、充電やエアコンのタイマー設定なども行える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「フィットEV」が日本でも電費トップに、「リーフ」「i-MiEV」と比較
ホンダは、「フィット」ベースの電気自動車(EV)「フィットEV」が、日本国内で販売されるEVとして最高の電費を達成したと発表した。JC08モードにおける交流電力量消費率は106Wh/km、一充電走行距離は225kmである。 - 「フィットEV」の燃費性能は「リーフ」の約1.2倍、走行距離も上回る
ホンダが2012年夏から米国でリース販売する電気自動車「フィットEV」の換算燃費が判明。日産自動車の「リーフ」の約1.2倍となる118MPGe(約50.2km/リットル)を達成した。 - ホンダの「フィットEV」、電費性能世界一をうたう
ホンダは電気自動車「フィットEV」の市販車をロサンゼルスショーで公開した。北米仕様EVであり、電費性能では世界一だと主張する。その一翼を担うのが東芝のSCiB電池だ。