ロボットを遠隔操作し、優しく・素早く・安全に救助せよ!! ――14チームがレスキュー活動に挑戦:inrevium杯 第12回レスキューロボットコンテスト(2/2 ページ)
ロボットが路上のガレキを押しのけ、走路を確保しつつ、要救助者の下へと急行する――。2012年8月11、12日の2日間、神戸サンボーホールで「inrevium杯 第12回レスキューロボットコンテスト」が開催された。本稿では、大会概要と結果をお届けする。
第12回レスキューロボットコンテストの結果は?
第12回大会には、全24チームの申し込みがあり、書類審査を経て20チームが7月の予選に挑んだ。そして、予選を通過した14チームが、8月11、12日に行われた本選に進出し、レスキュー活動を実践した。
その結果、今大会は神戸市立工業高等専門学校のチーム「がんばろうKOBE」が、ファーストミッション、ファイナルミッションおよび審査員ポイントのトータルで最高得点の1193ポイントをたたき出し、ベストパフォーマンス賞とベストロボット賞を受賞した。
「がんばろうKOBE」のレスキュー方式は、ダミヤンの下にクローラーベッドを差し入れ、極力負荷を与えずに素早く救助するのが特徴だ。ファイナルミッションでは、量が増え配置も難しくなったガレキに悪戦苦闘する他チームをよそに、唯一、3体のダミヤンを救出・搬送し、ミッションを完遂していた。
チームのキャプテンに話を聞くと、「ファーストミッションよりも、ファイナルの方がレスキューしやすかった」という答えが返ってきた。ファーストミッションでは、ダミヤンの周囲にあるガレキをマスタースレーブ方式のハンドで取り除く必要があったため、オペレーションが難しかったそうだ。
ファイナルミッションは、ダミヤンに覆いかぶさっているガレキに高さがあったので、ガレキをそのままにして、ダミヤンを救助する余裕があったという。「自分たちのレスキューコンセプトに合った、活動のしやすい課題であったため、スムーズなレスキューを実現できた」とチームのキャプテンは笑顔を見せた。
そして、レスコンの中で、一番名誉のあるレスキュー工学大賞は、神戸市立科学技術高等学校 科学技術研究会のチーム「なだよりあいをこめて」が受賞した。この賞は、レスキュー工学の観点から、「コンセプト」「技術力」「実践力」が最も優れたチームに贈られる。そのため、競技結果だけではなく、委員会に提出する応募書類の内容も審査対象となる。「なだよりあいをこめて」は、現実の救助活動を想定し、ロボットの駆動部やアームをアタッチメント化し、あらゆる状況に対し、柔軟に対応できるようにしたアイデアが高く評価された。
次回、第13回大会では、初めて東京予選(2013年7月7日)が開催される。参加・観覧に興味のある方は、レスキューロボットコンテストの公式Webページを確認してほしい。
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