GoogleのようなPLMを提供する:シーメンスPLMソフトウェアの記者発表会より
シーメンスPLMソフトウェア会長のトニー・アフーソ氏が来日。2011年度の同社における営業成果やグローバル戦略について語った。同社日本法人社長の島田太郎氏からも、日本市場における製品提供の方針が示された。
シーメンスPLMソフトウェアは2012年7月19日、東京都港区のアカデミーヒルズで開催した「Siemens PLM Connection Japan 2012」(同日開催)のために来日した同社会長のトニー・アフーソ(Tony Affuso)氏による記者会見を開催した。アフーソ氏は、同社の2011年度における営業成果やグローバル戦略について語った。会見後半は、日本法人の代表取締役社長の島田太郎氏が登壇。日本法人としての今後の取り組みについて述べた。
「2011年度における当社の新規顧客数は3500で、現在の総顧客数は7万1000。顧客は世界50カ国に広がっている。日々使われているライセンス数は720万」とアフーソ氏は同社の成果を挙げ、PLMビジネスが好調であることを示した。
アフーソ氏は、グーグル(Google)の会長(元CEO) エリック・エマーソン・シュミット(Eric Emerson Schmidt)氏の「現在、私たちが2日間で生み出すデータの量は、文明の夜明けから2003年までの間に作られたデータ量と同じくらい(Every two days now we create as much information as we did from the dawn of civilization up until 2003)」という言葉を引用し、今日の製造業におけるデータも同様であると語った。
そのデータは膨大なだけでなく、複雑であり、それらが網の目のように絡まっている。いまや製品は機構(メカ)だけでは成り立たなくなり、仕様や要件はますます複雑化してきており、グローバルな対応も検討しなければならない。それにも関らず、昔以上に“失敗が許されない”状況でもある。
そのような状況下で、迅速かつ的確に製品開発を進めるに当たっては、いままで以上に、データ管理・利用についてしっかり取り組む必要があるとアフーソ氏は述べた。
またシーメンスPLMソフトウェアが製品提供する上で、技術において重要な柱は以下の3つとした。
- インテリジェントに統合された情報:「『インテリジェント(intelligent)』が重要な単語である」(アフーソ氏)
- 将来も使い続けられるコンピュータ、あるいはネットワークアーキテクチャ
- HD(High-Definition)によるユーザ体験の提供:使い勝手。例えば、検索エンジンやスマートフォンのような検索性など
3つ目の柱は、同社のPLM「Teamcenter」における「Active Workspace」(AWS)の機能を示す。「まるでGoogleのように、(CADデータや関連書類といった)設計情報などを素早く探すことができるシステム。文字を入力して検索する他、ジオメトリ(幾何形状)を手掛かりにしても検索できる。たとえパーツ番号が分からなくても、部品形状からも検索可能になる」(アフーソ氏)。
AWSは米国で提供開始し、既に利用したユーザーからは良好な反響を得ているとアフーソ氏は語り、「自分たちが関わる(製品開発における)プロセス全体を見渡すことができたのは初めて」という実際のユーザーのコメントを紹介した。日本におけるAWS提供のスケジュールについては、現時点では未定ということだ。
日本法人としては、まず製品品質向上に重点を置くと島田氏は述べた。同社の開発部隊と共同し、ソフトウェアのテストをより強化していくという。
島田氏は、日本顧客が求める製品機能強化として以下を挙げ、日本法人としてそこに重点を置いて取り組んでいくと述べた。
- 製品のパフォーマンス改善
- (ユーザーの)グローバルコラボレーションに対応
- エレ・メカ・ソフトのシームレスな連携設計や、製品のモジュラー化を実現させる仕組みの提供
- 製造に直接生かせる設計データ提供の仕組み。相互のデータの共通化
- AWSなどの使い勝手のよい仕組みの提供
日本のユーザーが特に重視する「パフォーマンス(高速な処理)」に取り組み、特に「フォルダ展開」「アイテム作成」といったユーザーが頻繁に行う作業について、バージョンを重ねるごとに高速化していると島田氏は説明した(以下のスライド)。
日本の製造業はデータ管理やシステマチックな考え方が苦手といわれるが、そのサポートについて島田氏は、「日本では(PLM製品導入において)最初のアライメント(事前調整)に力を入れる。その部隊やパートナー協業の強化を図っていく」と述べた。
「『お客さまを絶対に失敗させない』『お客さまと一緒に製品を作る』というのが当社の基本方針。日本法人もその方針の下で取り組んでいく」(島田氏)。
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