EV用急速充電器は有料化へ、会員制サービスの実証実験やコイン式課金装置も:電気自動車(1/2 ページ)
電気自動車(EV)の普及に合わせて、EV用急速充電器の設置台数も順調に増えている。これまでは無料で利用できていたEV用急速充電器だが、有料化に向けた取り組みも始まっている。
電気自動車(EV)の普及に必要不可欠なものの1つとして、充電インフラの充実が挙げられている。中でも、比較的短い時間(30分程度)で電池容量の約80%まで充電できるEV用急速充電器は、ガソリンエンジン車にとってのガソリンスタンドと同じ役割を期待されていることもあって設置台数は急増している。
CHAdeMO協議会によれば、2012年4月27日時点での国内におけるEV用急速充電器の設置台数は1127台となり、既に1000台を上回っている。また、EV市場の拡大を目指す日産自動車は、2011年11月に60万円を下回るという格安のEV用急速充電器を投入しており、2015年度末(2016年3月末)までに5000台を販売することを目指している(関連記事1)。
このように、順調に設置台数を伸ばしつつあるEV用急速充電器だが、利用料をきちんと課金できているものは少ない。現時点で、EV用急速充電器に課金システムを導入しているのは、JX日鉱日石エネルギーナジー(ENEOS)、出光興産、コスモ石油、昭和シェル石油の4社が結成したEVサービスステーション・ネットワークと、国内で最もEV導入が進んでいる沖縄県で事業を展開するエー・イー・シー(AEC)、東名高速や新東名高速のサービスエリアにEV用急速充電器を設置しているNEXCO中日本などにとどまっている(関連記事2)。この他、日産自動車がリーフのオーナー向けに1カ月当たり1500円で提供しているサポートサービス「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム」に入会すれば、日産自動車の販売店などに設置されているEV用急速充電器を無料で利用できるようになっている。表1に、各社の利用料をまとめた。
企業名 | ENEOS | 出光興産 | コスモ石油 | 昭和シェル石油 | AEC | NEXCO中日本 | 日産自動車 |
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入会金 | 1000円 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | リーフ向け |
利用料 | 3000円/月 | 3150円/月or1050円/回 | 3000円/月or1000円/月+400円/回 | 3150円/月or600円/ | 1000円/月+500円/回 | 100円/回 | 1500円/月 |
一方、官公庁や道の駅、大型ショッピングセンターの駐車場などのEV用急速充電器は、「CO2を排出しない、環境に優しいEVの普及を目的に設置した」という理由からほとんどが利用料を無料にしている。とはいえ、EV用急速充電器を使って電池容量の80%まで充電する場合、三菱自動車の「i-MiEV」であれば約280円、リーフであれば約420円の電気料金が掛かる(昼間の電気料金を1kWh当たり22円とした場合)。ガソリンに比べれば安価ではあるものの、やはり無視できる金額ではない。今後EVが普及することを考慮すれば、課金システムの導入は必須といえよう。
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