「自動車とICTの融合」はどこまで進むのか、世界最大級のIT見本市が注目:CeBIT 2012 デジタル・ドライブ(2/2 ページ)
世界最大級のIT見本市「CeBIT」に新しく加わった展示コーナー「デジタル・ドライブ」では、「自動車とICTの融合」をテーマに今後の自動車の多くに搭載されていくだろう車載情報機器やテレマティクスなどに焦点を当てている。初回ということで出展者社数はふるわなかったものの、いくつか興味深い展示があったので紹介しよう。
フォルクスワーゲン
Volkswagen(フォルクスワーゲン)は、同社グループの傘下にあるアウディとともに、独立したブースを出展していた数少ない自動車メーカーである。しかし、車内の音響システムのデモンストレーションや小型ワンボックスカーにレコーディングスタジオを搭載した展示など、一般来場者向けに技術そのものよりもイメージをアピールするにとどまっていた。
GLONASS
ロシアの衛星測位システム「GLONASS」もブースを構えていた。元はソビエト連邦がアメリカのGPSに対抗して開発した軍事用システムだが、現在では商用利用も進んでいる。例えば、Appleの「iPhone 4S」がGLONASSに対応している。広い打ち合わせスペースの中には、GLONASSで利用している衛星の模型をいくつか展示していたが、これは一般来場者向けと言うよりも、出展/来場企業への認知度向上や商談機会を意識したものだったようである。
ドイツ連邦軍
デジタル・ドライブのテーマから少し外れるが、ドイツ連邦軍のブースで興味深い車両が展示されていたので紹介する。偵察任務向けに開発されている自律走行車両の「Mustang MK 1A」で、出力2kWの燃料電池と3次元レーザースキャナを搭載している。
今回が初となるデジタル・ドライブでは、アウディの様に、同時期開催のモーターショーで出展した新型車を披露しつつ、その展示内容は新世代の車載情報機器プラットフォームに焦点を当てたものになっているなど、主催者であるCeBITの狙い通りのブースも確かにあった。しかしながら、自動車とICTの融合という広い間口から考えると、出展社数は多いとは言えなかった。とはいえ、車載情報機器で高レベルの技術力を持つ日本企業にとって、自動車や道路の使われ方が比較的日本に近い欧州への足掛かりの1つになり得るイベントに育つ可能性もある。今後の展開に要注目だ。
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