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アウディがIT見本市で新型「A3」を初公開した理由CeBIT 2012 デジタル・ドライブ(2/2 ページ)

アウディは2012年3月上旬開催の「ジュネーブモーターショー」で、「Audi A3」の新モデルを発表したが、同じタイミングで開催された「CeBIT 2012」でもドイツ国内向けに初公開していた。IT関連見本市であるCeBITで新車を披露した目的は、同社の車載情報機器プラットフォームのアピールにあった。

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使いやすい入力インタフェース

 CeBIT 2012のアウディブースでは、この最新の入力インタフェースを備える車載情報機器を中心にデモンストレーションを行っていた。ロータリープッシュボタンコントローラの使い勝手は快適で、カー(クルマの各種設定)、電話、ナビゲーション、メディア(音楽/映像)、ラジオ、トーン(オーディオ設定)、Audi Connect(インターネットサービス)の7つあるトップメニューから、ボタンの回転で選択、押下で決定という操作により、それぞれのサブメニューに入って目的の機能を利用できる。文字の入力が必要な場面では、アルファベットをコントローラの回転/押下で選択/決定できるのに加えて、プッシュボタン上部のタッチパッドでアルファベットを手書き認識させることもできた。

 なお、ブースの展示では分からなかったのだが、3月8日に開催された「automotiveDAY」という「CeBIT 2012」内のイベントにおけるAudiの講演では、コントローラのタッチパッドに漢字を入力して認識させることも可能だと説明していた(関連記事)。

車載情報機器プラットフォームのトップメニュー「Audi Connect」のサブメニュー「City Events」で「CeBIT」の情報を表示 左の写真は、車載情報機器プラットフォームのトップメニューで、「Audi Connect」がフォーカスされているところ。フォーカスされたメニュー項目は青色の枠で囲まれ、そのサブメニューの内容が上に表示される。ロータリープッシュボタンコントローラを回転させることで他のメニュー項目に切り替わる。中央の写真では、Audi Connectを選択してサブメニューを表示させている。「City Events(自車位置周辺のイベント)」、「Facebook」、「Twitter」、「Flightinfo(近くの空港の発着ステータス)」などのメニュー項目が見える。左側の弧を描くラインのすぐ横に青いラインが見えるが、これはさらに他にメニュー項目があることを示している。コントローラを回すと表示される。右の写真では、City Eventsから「CeBIT」に関する情報を選択して表示させている。Audi Connectの表示はメディアディスプレイに最適化されているので、文字も画像も視認しやすい。(クリックで拡大)
文字入力のユーザーインタフェースタッチパッドに「e」を入力Axel Strotbek氏の基調講演 左の写真は、文字入力のユーザーインタフェース。コントローラを回して文字を選んでも、タッチパッドで手書き認識させてもよい。中央の写真は、タッチパッドに「e」を入力しているところ。書き終えると少し間を置いてその文字が入力される。右の写真は、「automotiveDAY」における、アウディ取締役のAxel Strotbek氏による基調講演から。ロータリープッシュボタンコントローラのタッチパッドの手書き文字認識はアジア圏の文字にも対応するという。(クリックで拡大)

 クラウドサービスのAudi Connectは、ニュースや天気予報、地域の見どころ情報や、Facebook、Twitterといったソーシャルネットワーキングサービスをインターネット経由で提供している。これらのサービスは、単純にWebブラウザベースのものにはなっておらず、ロータリープッシュボタンコントローラを使った操作とマルチメディアディスプレイの表示に最適化されており、ユーザーの操作面での煩わしさを極力排除している。なお、地域の見どころ情報(POI:Point Of Interest)はGoogleのサービスを利用している。また、ナビゲーションでは、「Google Earth」を使ったルート案内や、ストリートビューの表示も可能だ。

「Facebook」のニュースフィードを表示ストリートビューを表示 左の写真は、「Facebook」のニュースフィードを表示させたところ。読むだけでなく投稿することもできる。ナビゲーション機能では、「Google Earth」や「ストリートビュー」が利用できる。右の写真では、ナビゲーションのガイド中にストリートビューを表示している。画像では分かりにくいが、中央に目的地方向の矢印が表示されている。(クリックで拡大)

 筆者が、このアウディの最新車載情報機器プラットフォームを利用してみたところ、ロータリープッシュボタンコントローラと、それに最適化された情報表示の組み合わせが極めて使いやすいと感じた。ただし、若干の懸念を感じたのが、右ハンドル車にこのプラットフォームを搭載する場合のことである。このとき、ロータリープッシュボタンコントローラは左手で操作することになるが、利き手でない側の指で漢字などの複雑な文字を認識させるのは難しいかもしれない(インタフェース自身の問題ではないが)。ただし、今回試せなかったものの、音声認識による操作を組み合わせればその問題も解決できそうだ。

 アウディでは今後、Audi Connectの無線通信機能にLTEを導入するとしており、より一層多様なサービスが期待できるだろう。

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