ウチだって「普通の活動」ができなくて倒産寸前だったんデスヨ:S&OPプロセス導入 現場の本音とヒント(4)(3/3 ページ)
「売る予定がない製品の在庫計画指示書がきっかけデシタ……」。組織、会議、仕組みを変えて復活したPさんの会社はこんなに革新的な業務プロセスを動かしていた! 危機から復活した要因は「普通の活動」ができたことにあったようだ。
普通の活動ができたいなかったために
SさんとOさんは、OKメディカル社のS&OPの概要を聞いていて、それぞれ「あれ? 特別な話じゃないな……」「何か教科書に載っていそうなことばかりじゃないのかな?」というようなことを感じていました。
S&OPということで、「何か特別なことをやっているのでは?」と構えていた2人にとって、Pさんの話はかなり意外に思われました。このことを率直にPさんに言ってみると……。
「本当デスヨネ。私も最初同じような感想を持ってマシタ。でも実際のところ、OKメディカル社ではこの『普通の活動』ができていなかったために倒産しそうになっていたんデスヨ……」
SさんとOさんはお互いに顔を見合わせました。
OKメディカル社は改革でどう変わった?
最後に、Pさんは、「1990年代に顕在化していたわれわれの課題がどのようになっているかをお話しシマショウカ」というと、以下のようにまとめてくれました。
(1)部門および国の間で大きな壁が存在→全社戦略を基にした対応へ S&OPプロセスを導入したことで、各部門の責任範囲が明確化されました。加えて、適切な情報共有が行われることにより、全社戦略に基づいた統一的な対応ができるようになりました。
(2)問題発生時に迅速に対応するための体制がなかった→権限集中で対応しやすく 経営陣の積極関与、そしてグローバルへの権限集中や統一システムへの変更により、迅速に対応するための体制が出来上がりつつあります。
(3)全社戦略と各部門・各国との計画・活動が連動していなかった→業績評価連動へ グローバルでの調整機能に加えて、バランス・スコアカードが同時期に導入され業績評価とリンクされたことも手伝い、各国・各部門・各個人レベルまで戦略との一致がより簡易にできるようになってきています。
(4)部門・各国間でのコミュニケーションが不足→グローバル主導の調整活動へ 常設の会議体において、グローバル主導で情報整理・調整を行うことで、適切な共有が図られ統一的な対応ができるようになりました。
Pさんによると「サスガにまだ全てが完全に解決しているワケではアリマセンガ、多くの課題に対して少なくとも大幅な改善が見られてイマス!」とのことで、その表情は満足そうに見えました。
Pさんは「Oサン、それじゃ今日は君のなじみのところにイコウよ! Sサンももちろん一緒デスネ?」と言うと、ふいに何かを思い付いたようでした。
「ソウイエバ、Sサン、Oサンと私のイニシャルで『S&OP』がそろいマスネ! うん、皆さんも早くヤラナイト!」といたずらっぽい表情でウィンクしました。
Pさんとの歓談を楽しんだ後、OさんはSさんに「まず、普通のことがちゃんとできる会社にするためにも、S&OPプロセスの導入を検討してみないとな。早々に社長とも話してみるよ。Sさんにも主力メンバーとして加わってもらうからな!」と力強く言いました。
そして、「そのための打ち合わせにもうちょっとどうだ」というと、OさんとSさんは作戦会議という名目で、2軒目に純和風居酒屋ののれんをくぐったのでした。
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皆さんの会社でも、業務上で「何か普通のことができていないな」と感じていることがあれば、S&OP導入を検討してみてはいかがでしょうか。
編集部から
Pさんに出会ったことで、普通のことができなくてイライラしていた2人は、先端を行くグローバル企業でも少し前までは同じ状況だったことを知りました。
2人は自社にも改革の波を起こそうと、さらに学習を進めるべく、組織や財務との関係、企業戦略との関係など、S&OPプロセスの導入とその位置付け、影響範囲について、S&OPの専門組織によるリサーチペーパーなどを参照する予定です(本連載第6回以降で掲載)。次回は、2人の参考書の著者が直接、ここまでのお話を整理します。お楽しみに。
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