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思い描いた「コンセントの未来」、ソニー発の強力な技術を使いこなせるか小寺信良のEnergy Future(16)(3/4 ページ)

ソニーが開発した「認証型コンセント」。前回はコンセントが家電を認識する仕組みを紹介した。今回は認証型コンセントを使うと何ができるのか、アプリケーション側から考えてみたい。他のさまざまな革新技術同様、大きな可能性を秘めると同時に、落とし穴もありそうだ。

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巧妙な仕組みで電力を遮断

 もう1つ疑問がある。接触型ともいえる電力線重畳方式でリレー(スイッチ)によって通電を遮断したら、FeliCa認証のための信号も遮断されてしまうのではないか(図4)。これを防ぐにはリレーの作り方にポイントがある。


図4 電力線重畳通信方式 図中央にあるようにFeliCa認証信号には、13.56MHzという高周波を用いている。電力線重畳通信では、図2のような使い方はできず、コンセントにプラグを差し込む必要がある。出典:ソニー

 家電などが使う交流の周波数は50Hz(東日本)か60Hz(西日本)という低周波である。一方、FeliCa認証信号は13.56MHzという高周波を用いている。電源遮断用のリレーには、低周波用のフィルタと高周波用のフィルタを内蔵し、個別にフィルタリングが動作するようにしておく*3)。こうすればフィルタ動作の組み合わせで、電源は遮断しておいて認証信号だけ通すことができるというわけだ。

*3) 高周波のみを通すフィルタをハイパスフィルタと呼ぶ。身近な応用例としては高音域専用のスピーカーであるツイーターがある。ツイーターでは高音のみを再生するためにハイパスフィルタを使って信号から低音域部分を除去している。

 この遮断技術の延長線上には、学校内のコンセントを管理するという用途も考えられる。これは電子教科書、あるいは電子教材を導入した際に起こる管理問題を解決するはずだ。

 電子教科書が導入されれば、学校にも相当数のコンセントが必要になるだろう。このとき、電子教科書だけを認証するコンセントに変えておけば、生徒が勝手に学校のコンセントでスマートフォンやゲーム機を充電して帰るといったことも防止できる。

 また機能2との組み合わせになるが、電子教科書の管理にも使えるだろう。「誰々ちゃんの電子教科書がどっかにいっちゃったんだけど、あそこの教室で充電されてる」だとか、最後に充電したのはどこだったとか、「もう3日間どこでも充電されてない、なくしたな」、といったように分かるわけである。

つながった機器が分かると何ができるか

 機能2の「どのコンセントに何の機器がつながったかが分かる」を利用すると、機器に応じた電力を流すことができる。例えば200Vのコンセントは、日本の家庭ではエアコンや電気給湯器などごく一部にしか使わないが、、海外に行くと100Vと220Vのコンセントが混在しているケースがある。

 220Vのコンセントに100Vしか対応できない機器を接続すると、確実に壊れるばかりでなく、運が悪ければ破裂する危険もある。筆者はスペインのホテルで、100Vまでしか対応していないUSBハブのACアダプターを一発で吹っ飛ばしたことがあるが、こういうことは普段日本にいると、うっかり忘れてしまうものだ。

 だが認証型コンセントになれば、認証された側が100Vにしか対応していなければ、220Vコンセントから電気を流さない、あるいは100Vを流す、というインテリジェントな動作が実現する。

 これを延長していくと、さらには直流給電の課題が解決する。モバイル機器をはじめ、多くの機器は交流を直流に変換して内部で使用する。これがいわゆるACアダプターの役目だ。しかしその変換が無駄ということで、現在試験的に直流コンセントの可能性が検討されている。

 直流給電の問題は、一体何Vで給電するのが現実的か、ということである。これは機器側で必要な電力がさまざまで、6Vだったり4.5V、あるいは9Vだったりする。電圧によってコンセントの形を変えていくと大変なバリエーションになってしまうため、広がりに限界がある。

 ここに認証型コンセントの技術を入れれば、一気に解決だ。認証された機器に必要な電流・電圧を読み取って、それに合わせて給電できる。

 さらに活用が進めば、バッテリーの能力を調べて、より効率的な充電ができるようにもなるだろう。高圧で急速充電できるものは高圧で、「へたってきた」バッテリーには延命する方向で電圧を調整するといったことも可能だ。

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