自動車にのめり込むインテル、共同研究開発に続き1億ドルの投資も:電気自動車
インターネットに常時接続可能な車は既に実現されている。次は安全性を確保しながら情報を提供できる車、最後には先進的な運転支援や交通最適化へと進んでいく。インテルはこの流れを加速するために、自動車関連企業と共同開発を続けてきた。次は投資による資金提供だ。
米Intelが自動車産業にのめり込んでいる。
理由は3つ考えられる。1つは「自動車が究極のモバイル機器であるから」だ。これは同社のAutomotive Solution事業部長のステーシー・パーマー(Staci Palmer)の言葉だ。2番目に市場規模が大きい。同氏はネット接続機器とオンラインコンテンツの対象市場として上位3分野の一角を占めるという見通しを挙げた。
3番目の理由は自動車がモバイル機器に「なる」ための障壁が高いことだ。スマートフォンやタブレットを使うとき、ユーザーは操作に専念できる。だが、車は違う。同乗者は専念できるかも知れないが、ドライバーが扱う情報が多くなると、情報の取り扱いに困難を来してしまう。
この障壁を放っておくと、自動車のモバイル機器化が遅れてしまう。そこでIntelは他の企業と協力して障壁を崩す。
まずは自動車メーカーや自動車部品メーカーとの共同研究開発だ。2011年11月にはトヨタ自動車と「次世代車載情報通信システム」に関する覚え書きを締結(関連記事:トヨタとインテルが組む、車載情報システムを一新)。
続いて、2012年2月にはデンソーと同じテーマで覚え書きを締結している(関連記事:デンソーがインテルと共同開発、次世代車載情報通信システム)。
1億米ドルを4〜5年で投資
2012年2月29日、Intelはその3番目の矢を放った。1億米ドルの「コネクテッドカー基金」の設立だ。Intel Capitalはシリコンバレーに拠点を置く世界的な技術投資組織として、自動車の技術革新に特化した初の基金を設立。今後4〜5年をかけて関連企業に投資していく。
Intelが開発しようとしているコネクテッドカーは、車載インフォテインメントの面から語られることが多い。車内でも途切れることなくインターネットに接続し、エンターテインメントやソーシャルメディアを利用するといった内容だ。
次の段階は車自体が高度な状況認識機能を備え、正しい情報を正しいときに、正しい手法で提供する姿だ。安全性の確保が必須条件になる。
最終的には自動車がネットワーク接続されることにより、クラウドや交通インフラストラクチャーと結び付き、他の車と通信することで、先進的な運転者支援や、交通量の最適化へとつながっていく。
日本国内で普及している道路インフラに頼ったITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)ではなく、自律動作する車が生み出すITSへの道である。
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