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地球には重力があるからずれるのさ、部品が公差解析 実践の基本(3)(2/3 ページ)

組み立て図の世界には、重力がない。でも実際、部品を組み立てていくときには重力がある。その影響でどれくらいずれるのか計算しよう。

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 アズーはひとまず置いておいて、ココが奮闘!(ナオは歴史学者なので……、お手伝い) 前回のように寸法1つずつ、どう動くかを計算しながら係数を計算して、一気に公差解析までしちゃう気ですよ! これはしんどい作業です。

 2人は“今どきのアキバ・カルチャー風”に、この苦行を少しでも楽しく乗り切ってみることにしました。

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えっと、これがこうなって……、セバスチャンッ! 図面のコピーはまだかしらっ!?


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はいはい、お嬢さま、ただいま。


――執事(ナオ:案外ノリノリ)を雑用や資料整理でこき使いつつ、“ココお嬢さま”が頭をひねること数時間……。

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で、できたわセバスチャン。ゼイゼイ……。


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図3 「できたわセバスチャン」(ココ)

 あまり楽しくならなかったようです……。

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お嬢さ……、じゃなくて、ココやるじゃん! しかしこの結果……、X方向よりもバラツキが大きいな。X方向は、二乗和平方根で「0.477」、ワーストケースが「1.78」だった(前回参照)だろう?

本当に大丈夫なのか?


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大丈夫じゃないわよね。ちゃんと見直さないと。ずいぶん時間がたっちゃったわね……。


 結果を見ながらしみじみとコメントするナオとココでした。すると、アズーが突然、“覚醒”したのです。

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はうーーーーーっ!


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何よ何よ! いきなり目を光らせて、何なのよーっ!


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見えましたぞーっ! 思い出しましたぞーっ! ホノさんの、ちょっとイマイチな設計のラックを公差解析してみた件ーっ!!


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どうやら、やっと目が覚めて、そしていまさら思い出したようだ。


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遅い、遅いのよっ!!


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忘れてることがあったよ! 前にどこかで「重力がドウシタ」って、何やら、例のおじさんの声を聞いた気がしたんだ。これって、「組み立てるときのことを考えて計算もしてみた方がいいんじゃないかな?」って、ふと思ったんだよね。


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それはどうして?


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だってさ、例えばこうやって組み立てたとするでしょ? そうするとサイド部品もボードもピン付き部品も絶対に穴のど真ん中で組み付くことはないよね。


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図4 組み立てる姿勢はこう
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確かに。重力を考慮すると位置が変わる、つまりピンと穴の位置も変わるな。OPT星にも地球と同じくらいの重力が存在していてよかったな。じゃなきゃ、イメージできなかったよ。


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図5 ピン付き部品はピンにぶら下がる
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それにそれぞれの取り付け穴の径が変わると部品の位置も変わるようになるわね。沈む方向になるY方向のピンと穴の位置を計算してみましょ。まず、左側のサイド部品も沈んで取り付くわよね。ガタ分いっぱい沈むと、サイド部品はど真ん中より0.2mm沈むわね。


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図6 サイド部品も沈んじゃう
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そしたらボードもじゃない? 同じく0.2mm沈むね。


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これが沈むなら、あれも、これも……、連鎖反応じゃないか。


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図7 ボードも沈んじゃう
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それで最後にピン付き部品が0.2mm沈む……。もともとピンと穴のすき間は0.1mmしか設計されていなかったけど、これじゃ最初の段階からぶつかるわね。


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図8 重力の影響は、あなどれない:「ノミナル」は、設計の基準寸法
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なんてこったい……。ちなみに、これで公差解析するとどうなるのかな。


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