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地球には重力があるからずれるのさ、部品が公差解析 実践の基本(3)(3/3 ページ)

組み立て図の世界には、重力がない。でも実際、部品を組み立てていくときには重力がある。その影響でどれくらいずれるのか計算しよう。

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穴の径にも係数が発生するよね。見てみないと。例えばボードに近いほうのベース部品の径が大きくなったら、サイド部品の取り付く位置も変わっちゃうね。1mm穴の大きさが変わると、ピンと穴の距離は0.5375mm変わるね(図9)。


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図9 サイド部品が傾く その1
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サイド部品側の長穴の二面幅の方の大きさも1mm変わるとピンと穴の距離は0.5375mm変わるな。


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ボードから遠いほうのベース部品の径が大きくなっても影響あるよね?


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そうね。微少だけどピンと穴の距離は0.0375mm変わるわ。相手になるサイド部品の方の穴の大きさも同じく、だわね(図10)。


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図10 サイド部品が傾く その2
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次はボードの穴の大きさを見ましょー。これはサイド部品に取り付ける穴も、ピン付き部品に取り付く穴も、穴の大きさが1mm変わると、ピン付き部品の位置がピンと穴の距離は0.5mm変わるわね(図11)。


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図11 ボードもピン付き部品も沈んじゃう!
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相手のサイド部品の穴も、ピン付き部品の穴の大きさも同じ影響を持っているね。


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よし、じゃあシートに追加していくか。重力を考慮した部分は黄色に塗っておくよ。


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図12 計算シート、再び! 重力編(測定はY方向だけ見ています)
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バラツキ自体への影響はそんなに大きくないね。それよりももともとの位置が問題だよな。“中心に位置している”計算の場合、その距離は、二乗和平方根で大体−0.48〜0.88mm。重力の影響を考えた場合の距離は、−1.09〜0.29mm。


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そのまま沈んだままじゃだめね。「持ち上げて組み付ける」とか位置の調整をしないと。


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はふー。コーサカイセキって奥が深いねぇ。重力1つ考えるだけでも、「想定外!」って起こっちゃうんだもん。そしてもう1つ考えてみたいこと、思い付いちゃった。


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なんだ? アズー。そのもう1つの問題ってのが解決したら、もう一度、才場工業に行って、ホノさんと話をしないといけないなぁ。これは。


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そうねぇ。


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ま、でもさ! 今日はホノさんの設計のことも思い出せたし、いろいろと考えることができたから、きっと今年はいい年になるよ! オショーガツにね、私“おみくじ”っていうのをひいたら「大吉」って書いてあったんだ。大吉って「今年はいいことあるよ!」ってことなんでしょ?


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どれどれ……、おぉ、本当だな。「新しい道を開く術を手に入れるでしょう」って書いてあるな。健康のところには「食に気を付けよ」って書いてあるぞ! ……後は「青い姿を出すべからず」。


青い姿

OPT星人の本来の姿である。記事冒頭の自己紹介に描かれている。



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まるで、アズーのために書かれたようなおみくじね。とにかく今年は、道端に落ちているものを食べるんじゃないわよ?


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ふんっ。


 もう1つの問題とは、何でしょうか。

ここまでのおさらい

 今回は前回のおさらいとしてY方向の計算の結果を出してみました。どうでしたか? 想定の範囲内でしたか?

 そして公差解析を行う際に考慮するべきポイント、組み立てる姿勢によって計算の結果も違うということを今回は学びました。通常の製品組立はもちろん重力の存在する地球上で行われるので、その方向に部品は移動します。逆にスプリングなど、ほかの部品の力によって任意の方向に常に押さえられている場合も同じです。

 公差解析を行う場合は組み立てる姿勢(重力の影響があるかないか、ガタが発生するかどうか)を加味して計算してみましょう。それでも最初は中心で位置が決まっている状態で計算してみた方が良いと思います。そこが成立してこその、今回のステップです。

 次回はガタの計算の仕方をアズーたちと共に解決してみましょう!

⇒連載バックナンバーはこちら

⇒前回シリーズ「公差解析 基本中の基本」はこちら

Profile

岡田 あづみ(おかだ あづみ)

1978年生まれ。大学を卒業後、自動車部品メーカーに入社。生産技術の現場で公差解析に出会い、その後サイバネットシステム(株)に入社。現在は3次元公差マネジメントツール、「CETOL6σ」のアプリケーションエンジニアとして企業での公差解析の導入に携わる。



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